不動産の取引(全95問中30問目)

No.30

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
2020年9月試験 問43
  1. 不動産の売買契約は、契約書を作成しなければその効力を有しない。
  2. 建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。
  3. 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有権を取得する。
  4. 売買の目的物である不動産に、第三者を権利者とする抵当権の設定が登記されている場合、その抵当権の抹消登記をせずにそのまま所有権を移転したときには、買主は、購入後、その抵当権が実行されることにより、当該不動産の所有権を失うことがある。

正解 4

問題難易度
肢110.1%
肢213.9%
肢316.3%
肢459.7%

解説

  1. 不適切。近くの店で買い物するときを思い浮かべればわかるように、売買契約に書面は必要とされず、当事者双方の合意のみにより成立し効力を生じます。これが民法の原則であり、不動産の売買契約でも同じです。実務上、契約書を作成することが一般的なのは、宅建業者が関与する取引では契約書面の交付が義務付けられていることや、契約内容や権利義務を明らかにして後々のトラブルを防止するためです。
    不動産の売買契約は、契約書を作成しなければその効力を生じない。2022.5-43-1
  2. 不適切。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自分の持分を自由に処分(第三者への譲渡や売却などが)できます。他の共有者の同意は不要です。他の共有者全員の同意が必要なのは、共有物を変更・処分する場合です。
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己の有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要がある。2023.9-43-3
    不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。2023.5-43-3
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要はない。2023.1-43-2
    建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者の同意は必要としない。2022.5-43-2
    不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。2021.9-42-2
    共有となっている建物について、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。2019.9-43-4
  3. 不適切。不動産の権利を第三者に対抗するためには登記が必要です。不動産が二重譲渡された場合、先に登記を備えた買主がもう一方の買主に対して所有権を主張できます。優劣は売買の先後では決まりません。
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が、当該不動産の所有権の取得を他方に対抗することができる。2023.9-43-1
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。2023.5-43-1
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。2022.5-43-4
    不動産について二重に売買契約が締結された場合、当該複数の買主間においては、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有権を取得する。2019.9-43-3
  4. [適切]。抵当権が行使されると、抵当不動産は裁判所による競落を経て、競落の買受人のものとなります。抵当権付きの不動産を取得した者は、抵当権の実行により所有権を失うことがあります。
したがって適切な記述は[4]です。