FP2級過去問題 2022年5月学科試験 問43

問43

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
  1. 不動産の売買契約は、契約書を作成しなければその効力を生じない。
  2. 建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者の同意は必要としない。
  3. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。
  4. 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。

正解 2

問題難易度
肢112.6%
肢248.2%
肢325.4%
肢413.8%

解説

  1. 不適切。近くの店で買い物するのを思い浮かべればわかるように、売買契約に書面は必要とされず、当事者双方の合意のみにより成立し効力を生じます。これが民法の原則であり、不動産の売買契約でも同じです。実務上、契約書を作成することが一般的なのは、宅建業者が関与する取引では契約書面の交付が義務付けられていることや、契約内容や権利義務を明らかにして後々のトラブルを防止するためです。
  2. [適切]。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自分の持分を自由に処分できます。よって、持分を譲渡するのに他の共有者の同意は不要です。
  3. 不適切。解約手付が交付された場合、契約の相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除できます。買主が行った代金の一部の支払いは契約の履行に当たるので、売主はもはや手付解除できません。
  4. 不適切。不動産について二重に売買契約が締結された場合、売買契約の先後ではなく、先に所有権移転登記を備えた方が別の買主に対して所有権を主張できます。不動産に関する権利の第三者対抗要件は登記だからです。
したがって適切な記述は[2]です。