事業承継対策(全20問中15問目)

No.15

中小企業における円滑な事業承継のための方策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2015年9月試験 問60
  1. 事業承継対策については、オーナー経営者の相続が発生してからでは取り得る対策が限られてしまうため、長期的な視野に立って早い時期から検討することが望ましい。
  2. 後継者の選定方針を明確にし、後継者候補を社内外に周知するとともに、後継者の十分な育成を早期に図ることが望ましい。
  3. オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。
  4. オーナー経営者が保有する自社株式を役員である後継者が取得する際の後継者の資金負担が心配される場合、あらかじめ、後継者の役員報酬を増やす等により相当の金融資産を確保しておく方策が考えられる。

正解 3

問題難易度
肢12.9%
肢25.7%
肢380.4%
肢411.0%

解説

  1. 適切。オーナー経営者に相続が発生すると、通常の相続対策のほかに自社株の所有権の対策なども必要になるため、事前に自社株の評価を下げたり納税資金を確保したりするなど、長期的な視点に立って早い時期から検討することが望ましいとされます。
    事業承継対策は、オーナー経営者の相続が発生してからでは採り得る対策が限られてしまうため、長期的な視野に立って早い時期から検討することが望ましい。2015.10-57-1
    事業承継対策は、オーナー経営者の相続が発生してからでは取り得る対策が限られてしまうため、長期的な視野に立って早い時期から検討することが望ましい。2014.5-60-1
  2. 適切。後継者の選定方針を明確にすること、後継者の候補を社内外に周知させることは、後継者への教育と関係者への理解を深めるためにも必要な事とされています。
    後継者を早期に決定し、後継者である旨を社内外に周知するとともに、後継者の十分な育成を図ることが望ましい。2014.5-60-2
  3. [不適切]。オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するために、ある程度自社株式を生前に後継者に移転しておくことが推奨されます。自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転させると、経営権を奪われる事態にも繋がるため望ましくありません。
    オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、その経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。2019.9-60-3
    オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。2017.9-60-3
    オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。2014.5-60-3
  4. 適切。事業承継対策の一つに納税資金の確保がありますが、後継者の役員報酬を増やすなどにより金融資産を確保しておく方策のほか、生命保険への加入や相続財産を売却することで納税資金を確保する対策も有効です。
    経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。2020.9-60-2
    オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。2019.9-60-1
    オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。2017.1-59-2
したがって不適切な記述は[3]です。