相続と法律(全68問中7問目)

No.7

遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問54
  1. 公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。
  2. 公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。
  3. 自筆証書遺言を作成する際に財産目録を添付する場合、その目録はパソコン等で作成することができる。
  4. 自筆証書遺言は、自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されているものであっても、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければならない。

正解 4

問題難易度
肢15.1%
肢27.6%
肢34.2%
肢483.1%

解説

  1. 適切。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する遺言です。
    公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。2022.1-56-3
    自筆証書によって遺言をするためには、作成時、証人2人以上の立会いが必要である。2021.9-53-2
    公正証書によって遺言をするには証人2人以上の立会いが必要であり、推定相続人は、その証人になることができる。2018.1-55-4
    公正証書によって遺言をする際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。2017.5-56-1
    公正証書によって遺言をするには証人2人以上の立会いが必要であり、推定相続人は、その証人になることができる。2016.9-55-2
  2. 適切。遺言の撤回は、原則として、新しく作成した遺言に以前の遺言を撤回する記述をすることにより行います。撤回を記述する遺言書は以前と同じ方式である必要はないため、公正証書遺言の内容を自筆証書遺言で撤回することも可能です。
    公正証書遺言は、自筆証書遺言によって撤回することはできず、公正証書遺言によってのみ撤回することができる。2023.9-56-4
    公正証書遺言を作成した者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできず、公正証書遺言によってのみ撤回することができる。2022.5-56-2
    公正証書による遺言をした者は、その遺言を自筆証書による遺言によって撤回することはできない。2021.9-53-1
    公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできない。2020.9-54-3
  3. 適切。自筆遺言証書は遺言書の全文、日付及び氏名を自書して、これに押印して作成しますが、自筆遺言証書に添付する財産目録についてのみ自書でなくても良いことになっています(パソコンでの作成や通帳のコピーでも可)。
    遺言者が自筆証書遺言を作成し、財産目録を添付する場合、所定の要件を満たせば、その目録は自書することを要しない。2020.9-54-2
  4. [不適切]。自筆証書遺言書保管制度では、法務局で預かる際に遺言書に不備がないかの確認をしたうえで、原本の保管と画像のデータ化を行います。法務局に預けた時点で遺言書の形式要件や内容が確認され、その後の改ざん等のおそれがないため、相続開始後に家庭裁判所の検認を受ける必要はありません。
    遺言者が自筆証書遺言を作成して自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、その相続人は、相続開始後、遅滞なく家庭裁判所にその検認を請求しなければならない。2021.5-60-4
したがって不適切な記述は[4]です。