FP2級過去問題 2021年3月学科試験 問54

問54

成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができる者は、本人またはその配偶者のほか、本人の4親等内の親族に限られる。
  2. 成年被後見人が単独で土地の贈与を受ける契約を第三者と締結した場合、成年後見人は、その契約を取り消すことができる。
  3. 成年後見人が家庭裁判所の許可を得ないで成年被後見人の居住用不動産を賃貸した場合、その行為は無効となる。
  4. 被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する契約を締結した場合、保佐人は、その契約を取り消すことはできない。

正解 1

解説

  1. [不適切]。家庭裁判所への後見開始の審判の請求は、本人・配偶者・本人の4親等内の親族だけではなく、後見人・保佐人・補助人・検察官などもすることができます。
    精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができる者には、本人またはその配偶者のほか、本人の4親等内の親族も含まれる。2015.10-53-2
    精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができる者には、本人またはその配偶者のほか、本人の4親等内の親族も含まれる。2015.1-55-2
    精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができるのは、本人の親族のみである。2014.9-52-2
  2. 適切。成年被後見人が成年後見人の代理によらず自ら行った法律行為は、成年後見人が後から取り消すことができます(成年被後見人を保護するため)。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為に関しては取り消すことができません。
    成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。2015.10-53-1
  3. 適切。成年後見人が被後見人の居住用不動産について売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定等をするときには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。許可を得ずにしたそれらの行為は無効となります。
    成年後見人は主に、成年被後見人の預貯金や不動産を管理する「財産管理」と介護施設への手続きや契約などをする「身上監護」を行います。「財産管理」といっても、成年後見人が被後見人の財産を自由に使えるわけではなく、被後見人の利益のために財産を使うこととされています。
  4. 適切。被保佐人が財産に関する重要な契約をするためには保佐人の同意が必要です。保佐人の同意を得て行った契約は有効であるため取り消すことができません。
    一方、被保佐人が、保佐人の同意を得ずに重要な契約をした場合には、この契約を取り消すことができます。
したがって不適切な記述は[1]です。