FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問60

問60

相続税の納税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税について延納を申請する場合、一定の要件を満たせば、その相続により取得した土地以外の土地を延納の担保として提供することができる。
  2. 相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付や延納による金銭の納付が困難な場合、納税義務者は、その納付を困難とする金額を限度に物納を申請することができる。
  3. 物納に充てることができる財産の種類には順位があり、不動産と上場株式はいずれも第1順位に分類されている。
  4. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用前の価額である。

正解 4

問題難易度
肢112.2%
肢211.9%
肢325.5%
肢450.4%

解説

  1. 適切。相続税を延納する場合、担保を提供しなくてはいけません。担保財産は、相続や遺贈により取得した財産に限られず、相続人固有の財産でも第三者が所有する財産でもよいことになっています。相続により取得した土地以外の土地でも問題ありません。
    相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税を延納する場合、取得した土地以外の土地を延納の担保として提供することはできない。2021.9-59-1
  2. 適切。相続税は金銭による一括納付が原則ですが、納付すべき相続税額が10万円を超える場合には申告期限までに申請書を提出し認められれば延納ができます。さらに延納が困難な場合には物納の申請をすることができます。
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付や延納が困難な場合、納税義務者は、物納を申請することができる。2021.9-59-2
  3. 適切。相続税において、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位は「不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等」、第2順位は「非上場株式等」、第3順位は「動産」です。不動産と上場株式はいずれも第1順位です。
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  4. [不適切]。物納財産の収納価額は、相続税の課税価格に算入した額によるため、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合、収納価額は特例適用後の価格となります。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。2021.9-59-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」における特定居住用宅地等については、330㎡を適用対象面積の上限として評価額の80%を減額することができる。2015.5-60-3
    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、原則として特例適用後の価額となる。2014.5-57-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納するときの収納価額は、この特例の適用前の価額である。2013.5-58-4
したがって不適切な記述は[4]です。