FP2級過去問題 2025年5月学科試験 問56

問56

相続税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続税の申告書は、原則として、相続人がその相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、当該相続人の住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  2. 死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることにより相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。
  3. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を相続税の物納に充てる場合の収納価額は、当該特例の適用後の価額となる。
  4. 相続人が相続税の延納を申請する場合に担保として提供する財産は、所定の要件を満たせば、相続人が相続開始前から所有していた財産や共同相続人または第三者が所有している財産であってもさしつかえない。

正解 1

問題難易度
肢130.8%
肢246.6%
肢38.7%
肢413.9%

解説

  1. [不適切]。相続人の住所地ではありません。相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署長に提出する必要があります。
  2. 適切。死亡保険金や死亡退職金の非課税の規定の適用を受け、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告は不要です。一方「配偶者の相続税額の軽減」や「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けることにより、基礎控除額以下となる場合には申告が必要となります。
  3. 適切。物納財産の収納価額は、相続税の課税価格に算入した額によるため、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合、収納価額は特例適用後の価格となります。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用前の価額である。2023.1-60-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。2021.9-59-4
    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、原則として特例適用後の価額となる。2014.5-57-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納するときの収納価額は、この特例の適用前の価額である。2013.5-58-4
  4. 適切。相続税を延納する場合、原則として担保を提供しなくてはいけません。担保財産は、相続や遺贈により取得した財産に限られず、相続人固有の財産でも第三者が所有する財産でもよいことになっています。相続人が相続開始前から所有していた土地を延納の担保としても問題ありません。
したがって不適切な記述は[1]です。