FP2級過去問題 2021年9月学科試験 問59

問59

相続税の納税対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税を延納する場合、取得した土地以外の土地を延納の担保として提供することはできない。
  2. 相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付や延納が困難な場合、納税義務者は、物納を申請することができる。
  3. 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は、物納に充てることができない。
  4. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。

正解 1

問題難易度
肢158.9%
肢29.4%
肢317.7%
肢414.0%

解説

  1. [不適切]。相続税を延納する場合、担保を提供しなくてはいけません。担保財産は、相続や遺贈により取得した財産に限られず、相続人固有の財産でも第三者が所有する財産でもよいことになっています。相続により取得した土地以外の土地でも問題ありません。
    相続により土地を取得した相続人が、その相続に係る相続税について延納を申請する場合、所定の要件を満たせば、相続人が相続開始前から所有していた土地を延納の担保として提供することができる。2024.5-57-3
    相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税について延納を申請する場合、一定の要件を満たせば、その相続により取得した土地以外の土地を延納の担保として提供することができる。2023.1-60-1
  2. 適切。相続税は金銭による一括納付が原則ですが、納付すべき相続税額が10万円を超える場合には申告期限までに申請書を提出し認められれば延納ができます。さらに延納が困難な場合には物納の申請をすることができます。
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付や延納による金銭の納付が困難な場合、納税義務者は、その納付を困難とする金額を限度に物納を申請することができる。2023.1-60-2
  3. 適切。贈与を受けていた財産のうち、相続時精算課税の適用を受けた財産は、物納することができません。
    物納の収納価額は、原則として相続税の課税価格ですが、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は、贈与時の価額が相続税の課税価格のベースとなります。年月の経過により2つの価額に大きな差異が生じる可能性があるため、物納に充てることができないとされています。
    被相続人から贈与を受けていた財産のうち、相続時精算課税の適用を受けた財産も、物納に充てることができる。2013.5-58-3
  4. 適切。物納財産の収納価額は、相続税の課税価格に算入した額によるため、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合、収納価額は特例適用後の価格となります。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用前の価額である。2023.1-60-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」における特定居住用宅地等については、330㎡を適用対象面積の上限として評価額の80%を減額することができる。2015.5-60-3
    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、原則として特例適用後の価額となる。2014.5-57-4
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納するときの収納価額は、この特例の適用前の価額である。2013.5-58-4
したがって不適切な記述は[1]です。