FP2級過去問題 2024年5月学科試験 問11

問11

個人年金保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、契約者(=保険料負担者)、被保険者および年金受取人は同一人とする。
  1. 個人年金保険(保証期間付終身年金)では、保証期間中に被保険者が死亡した場合、死亡給付金受取人が、既払込保険料相当額からすでに支払われた年金額を差し引いた金額を死亡給付金として受け取ることができる。
  2. 個人年金保険では、被保険者が保険料払込期間中に所定の高度障害状態に該当すると、以後の保険料の払込みが免除され、直ちに年金を受け取ることができる。
  3. 外貨建て個人年金保険では、円換算支払特約を付加することで、契約時点の為替レートで円換算した年金を受け取ることができる。
  4. 生存保障重視型の個人年金保険では、他の契約条件が同一で生存保障重視型ではない個人年金保険と比較して、保険料払込期間中の死亡給付金や解約返戻金の額が低く設定され、将来受け取る年金額が高く設定されている。

正解 4

問題難易度
肢115.9%
肢212.8%
肢317.4%
肢453.9%

解説

  1. 不適切。死亡給付金は支給されません。保証期間付終身年金は、保証期間中であれば被保険者の生死にかかわらず年金を受け取ることができ、その後も生存している限り年金が支払われるタイプの個人年金保険です。保証期間中に被保険者が死亡した場合には、年金受給権が相続人等に引き継がれるので、相続人等が保証期間満了までの年金(またはそれに代わる一時金)を受け取ることになります。
    確定年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、死亡給付金受取人が既払込保険料相当額から被保険者に支払われた年金額を差し引いた金額を死亡給付金として受け取ることができる。2023.1-14-1
  2. 不適切。個人年金保険には、申込時に健康状態等の告知または医師による診査が必要な「選択型」と、告知等が不要な「無選択型」があります。選択型では高度障害状態に該当した場合、それ以降の保険料支払いが免除され、そのまま生存していれば所定の年齢から年金を受け取ることができます。これに対して、無選択型は保険料免除の取扱いはありません。いずれにしても直ちに年金を受け取ることはできません。
  3. 不適切。円換算支払特約は、本来は外貨で支払われる外貨建て保険の保険金等を円貨で受け取ることができる特約です。円貨で受け取れるので、外貨預金口座を開設する必要がないというのがメリットです。為替予約とは異なるので、円換算は受取り時の為替レートで行われます。
    外貨建て個人年金保険では、円換算支払特約を付加することで、年金や解約返戻金、死亡給付金を円貨で受け取ることができる。2023.9-13-4
    外貨建て個人年金保険は、契約時に円換算支払特約を付加することで、為替変動があっても、円貨で受け取る年金受取総額が既払込保険料総額を下回ることはない。2022.5-12-3
    外貨建て個人年金保険は、円換算支払特約を付加することで、為替変動があっても、円貨で受け取る年金受取総額が既払込保険料総額を下回ることはない。2021.9-13-2
    外貨建て個人年金保険では、円換算特約を付加した場合、受け取る年金額は為替の変動による影響を受けない。2016.9-13-4
  4. [適切]。生存保障重視型の個人年金保険(トンチン型年金保険)は、終身年金タイプの商品で、年金受取開始前の死亡保障や解約返戻金を低く抑え、その分を年金原資の運用に回すことで将来もらえる年金額を多くしたものです。長生きリスクに備える保険商品で、長寿年金とも呼ばれます。
    【参考】"トンチン"は、同じ仕組みの年金制度を考案した17世紀のイタリアの銀行家"ロレンツォ・トンティ"に由来しています。
したがって適切な記述は[4]です。