FP2級過去問題 2025年1月学科試験 問55

問55

配偶者に対する相続税額の軽減(以下「配偶者の税額軽減」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 配偶者の税額軽減の適用を受けることにより配偶者の納付すべき相続税額が0(ゼロ)となる場合、当該配偶者は相続税の申告書を提出する必要はない。
  2. 相続税の申告期限までに分割されていない財産は、原則として、配偶者の税額軽減の対象とならないが、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、配偶者の税額軽減の対象となる。
  3. 相続の放棄をした被相続人の配偶者が遺贈により取得した財産は、配偶者の税額軽減の対象とならない。
  4. 配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、相続が開始した日の前日において被相続人との婚姻期間が20年以上でなければならない。

正解 2

問題難易度
肢14.0%
肢237.8%
肢327.8%
肢430.4%

解説

  1. 不適切。配偶者の税額軽減の適用を受けるには、相続税の申告書の提出が必要です。本制度の適用を受けることにより、算出される相続税額がゼロ(0円)になる場合であっても、本制度の適用を受ける旨を記載した申告書を提出しなければなりません。
    配偶者の税額軽減の適用を受け、納付すべき相続税額が0(ゼロ)となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2024.9-57-2
    相続人が被相続人の配偶者のみである場合において、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が0(ゼロ)となるときは、当該配偶者は相続税の申告書を提出する必要はない。2024.5-57-2
    相続税の計算において、「配偶者に対する相続税額の軽減」の規定の適用を受けると配偶者の納付すべき相続税額が0(ゼロ)となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2018.9-57-1
  2. [適切]。「配偶者の相続税の軽減」や「小規模宅地等の評価減の特例」は、相続申告時に遺産分割が済んでいることが適用条件となっています。しかし、相続税の申告書の提出期限までに遺産の全部または一部が分割されていないときでも、相続税の申告書とともに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、実際に申告期限後3年以内に遺産分割が確定すれば、遡ってこれらの制度の適用を受けることができます。
  3. 不適切。配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者が相続・遺贈により財産を取得した場合に適用対象となります。相続開始時点で法律上の配偶者であれば、たとえその後に相続を放棄しても適用されます。このため、遺贈で受け取った財産や死亡保険金などの「みなし相続財産」に対しても利用できます。
    相続の放棄をした配偶者は、配偶者の税額軽減の適用を受けることができない。2024.9-57-3
    配偶者が相続を放棄した場合でも、その配偶者が遺贈により財産を取得したときには、配偶者の税額軽減の適用を受けることができる。2013.1-53-2
  4. 不適切。配偶者の税額軽減は、法律上の配偶者であれば婚姻期間に関係なく適用を受けることができます。「婚姻期間が20年以上」という要件があるのは、贈与税の配偶者控除です。
    「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けるためには、相続が開始した日において被相続人との婚姻期間が20年以上でなければならない。2016.9-56-4
    「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けるためには、相続が開始した日において被相続人との婚姻期間が20年以上でなければならない。2014.9-56-2
したがって適切な記述は[2]です。