FP2級過去問題 2025年5月学科試験 問8

問8

公的年金に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 老齢基礎年金および老齢厚生年金の支払の際に、所得税および復興特別所得税が源泉徴収される場合、その源泉徴収税率は10.21%である。
  2. 老齢基礎年金を受給権発生日から数年後に請求し、遡及して数年分の年金を一括して受給した場合、一括して受給した年金は、一時所得として所得税の課税対象となる。
  3. 厚生年金保険の被保険者が死亡したことにより、遺族が取得した遺族厚生年金の受給権に基づく年金給付は、相続または遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象となる。
  4. 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡し、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。

正解 4

問題難易度
肢18.4%
肢223.7%
肢324.2%
肢443.7%

解説

  1. 不適切。10.21%ではありません。一定額以上の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る場合、支払い時に5.105%(所得税5%、復興特別所得税0.105%)の税率で源泉徴収されます。公的年金等による収入合計が400万円以下である場合、この源泉徴収をもって確定申告が不要となります。
  2. 不適切。一時所得ではありません。老齢年金の繰下げ待機期間中には、繰上げ支給の申出をせずに、過去にさかのぼって数年分の年金を一括して受給することも可能です。公的年金を過去の分もまとめて一括で受け取った場合、当該年金は本来支給されるべきだった日の収入金額(雑所得)として取り扱われます。各年の所得が増えることで過去の所得税や住民税、保険料等に影響を及ぼす可能性があります。
  3. 不適切。公的年金の給付のうち、障害を支給事由とする障害年金、死亡を支給事由とする遺族年金は、相続税も所得税も課税されません。例外的に老齢年金だけは所得税の課税対象となります。これは老齢年金が退職金に近い性格を有する給付だからです。
  4. [適切]。年金の受給権者が死亡した時点でまだ受け取っていない年金や、死亡後に支給期が到来する年金は、「未支給年金」として生計を同じくしていた一定の親族が受け取ることができます。未支給年金は、遺族が自己の名で請求するため、受け取った未支給年金は、請求者の一時所得として所得税の課税対象になります。
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。2024.1-7-3
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。2023.5-7-4
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。2022.9-8-3
したがって適切な記述は[4]です。