年金の非課税となるケース

ひろさん
(No.1)
年金の非課税となるケースを調べていました。

65歳未満のかた:年金収入108万円以下(公的年金等控除60万円、基礎控除48万円)
65歳以上のかた:年金収入158万円以下(公的年金等控除110万円、基礎控除48万円)

上の件は、納得がいくのですが、次に書かれている件が矛盾していると思うのですが、そのへんを教えてください!

公的年金等の収入金額が400万円以下、その他所得が20万円以下の場合は確定申告不要です。
2022.05.13 00:29
マルさん
(No.2)
お答えしますね。

これ、ちょっと国税庁を敵にまわしそうでこわいんですが(笑)

【公的年金等の収入金額が400万円以下、その他所得が20万円以下の場合は確定申告不要】

この規定を作った思惑は、国税庁は年金受給者の確定申告の負担を減らすためと理由付けしていますが、真意は来たるべき年金受給者増加に備えて対策を打ったのではないかと思います。
本来公的年金も雑所得で総合課税で確定申告すべきものなんです。しかし、この確定申告不要制度ができたのは平成23年(2011年)です。ちょうど第一次ヘビーブームと言われた1947年〜1949年に生まれた世代が年金を受け始め、年金受給者が恐ろしいスピードで増え始めた時代です。
真意は税務署が大量の年金受給者の確定申告であふれかえるのを避けたかった思惑があると思います。

もちろんこの400万と言う数字も、多分統計をとってこの数字を決めたとは思います。この公的年金等収入が400万以下でそれ以外の所得が20万以下の人を確定申告不要にしたのは、この条件に当てはまる確定申告者が相当程度いたのだと思います。これでは税務署はパンクしてしまうので政策的にこの条件の人を確定申告不要にしたと私は思います。

実は確定申告した方が所得税が高くなる人もいますが、その差は数千円ほどであったりします。

ためしに本人の基礎控除のみで確定申告した場合と確定申告不要(源泉徴収で課税終了)とした場合でどれくらい違うかやってみます。  

条件は
「65歳以上  公的年金収入360万  基礎控除のみ48万、その他の控除はなし」

【確定申告した場合】
まず公的年金等控除=360万×25%+275000円=117万5千円
課税所得金額→360万−117万5千円(公的年金等控除)−48万(基礎控除)=194万5千円
この場合の所得税率は5%
所得税→194万5千円×5%=97250円
復興特別所得税→97250×2.1%≒2042円(円未満切捨て)
97250円+2042円≒99200円(100円未満切捨て)

【確定申告不要】
年金の場合は次のような式で基礎控除と公的年金等控除を合わせた控除額を計算します。

1か月の年金額支払額×25%+65000円
ただしこの金額が65歳未満は9万円に満たない場合は9万円  65歳以上は13万5000円に満たなければ13万5000円が採用されます。


1月の年金額=360万÷12=30万
公的年金等控除、基礎控除相当の控除→30万×25%+65000円=14万
1月の年金から源泉徴収される金額は
(30万−14万)×5.105%(復興所得税込み)=8168円
これが12ヶ月分なんで8168×12=98016円

源泉所得税額=98016円

どうですか?
確定申告した場合「99200円」と確定申告不要で源泉徴収票された「98046円」
その差1154円

ただ今回は基礎控除のみでやりましたが、他の控除があると税金が安くなりますし、場合によっては0円になります。
後、確定申告不要の人、つまり年金からの源泉徴収だけで終わる人でも、医療費控除や雑損控除を受けたい場合は確定申告した方が良いです。

さて、この1000円くらいの差のために税務署にたくさん受給者がおしかけると・・やっぱり不要にした方が税務署としては助かりますよね?

だから私はこれは国税庁が言う年金受給者の確定申告の負担を減らす目的もあるかもしれませんが、本当の狙いは税務署が年金受給者で溢れかえってパンクしないための政策的配慮だと思います。
2022.05.13 02:58
マルさん
(No.3)
一部記載間違えました。

(誤)
確定申告した場合「99200円」と確定申告不要で源泉徴収票された「98046円」
その差1154円

(正)
確定申告した場合「99200円」と確定申告不要で源泉徴収票された「98016円」
その差1154円

確定申告不要で源泉徴収票された金額は98016円が正しい数字ですね。
失礼しました。
2022.05.13 03:10
マルさん
(No.4)
これ、超がつくほど得意分野なんで、けっこう自信持って書いたんですが、わかりにくかったでしょうか?
お返事ないので、ちょっと心配になりました。
2022.05.13 19:02
ひろさん
(No.5)
マルさん、お返事遅くなってすみません。
大変、よくわかりました。
これからもよろしくお願いします。
2022.05.13 20:44
ひろさん
(No.6)
すみません!マルさんに質問です。
【確定申告した場合】の計算方法は、テキストにも載っていたので、自分でもわかりました。
【確定申告不要】の計算方法は、テキストを探したのですが、どこにも見当たらなかったのですが、これは、どの項目に載っているのですか?

2022.05.13 21:06
マルさん
(No.7)
良かった。ホッとしました。
はい、かしこまりました。
この公的年金の源泉徴収の計算の仕方は、多分重要論点ではないから載せてないと思います。
だから無理して覚える必要はないんですが、一応所得税法203条の2から203条の7までに載っていますので、興味があったらどうぞ参考にしてください


それとちょっとした豆知識と言うか、雑学と言うかの部分なんですが、私が書いたこのコメントの下記をみてください。

年金の場合は次のような式で基礎控除と公的年金等控除を合わせた控除額を計算します。

1か月の年金額支払額×25%+65000円
ただしこの金額が65歳未満は9万円に満たない場合は9万円  65歳以上は13万5000円に満たなければ13万5000円が採用されます。

この最低控除額9万円と13万5千円に着目してください。
これ1月分の基礎控除と公的年金等控除を合わせた控除額です
すると9万×12ヶ月=108万(基礎控除48万+65歳未満の公的年金等控除額の最低控除額70万と一致します)
13万5千円×12ヶ月=162万(基礎控除48万+65歳以上の公的年金等控除額の最低控除額110と一致しないですよね?)
これは108万は12できっちり割れますが、158万は158万÷12すると131666.66・・となり割り切れません。だから65歳以上は政策的に135000円と決めています。よって通常の基礎控除+公的年金等控除より65歳以上は源泉徴収の際に少し多く引いてくれているのがわかると思います。
2022.05.13 22:27
マルさん
(No.8)
この公的年金の源泉徴収の仕方って、給与所得だと会社(給与支払者)が年末調整しますよね?
しかし、年金支払者ってだれですか?
国(年金機構)とか共済組合などだったりしますよね?
膨大な数の年金受給者の年末調整なんて、無理ですよね?
だから政策的に金額決めて誤差があるけどそれは許容範囲の誤差と考えて、年末調整的な事をしないんです。
2022.05.13 22:42
マルさん
(No.9)
間違えました。
すると9万×12ヶ月=108万(基礎控除48万+65歳未満の公的年金等控除額の最低控除額70万と一致します)

65歳未満の公的年金等控除額の最低控除額60万ですね。
大変失礼しました。
2022.05.13 22:56
ひろさん
(No.10)
マルさんのおかげで、私の疑問に思っていたことがすべて解決したように思います。
9万円と13万5千円の意味まで教えていただいて、本当に感謝です。
また、わからないことが出てきたらよろしくお願いします。
2022.05.13 23:34

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