相続と法律(全76問中22問目)

No.22

民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年5月試験 問56
  1. 遺言は、満18歳以上の者でなければすることができない。
  2. 公正証書遺言を作成した者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできず、公正証書遺言によってのみ撤回することができる。
  3. 遺言による相続分の指定または遺贈によって、相続人の遺留分が侵害された場合、その遺言は無効となる。
  4. 公正証書遺言を作成する場合において、遺言者の推定相続人は、証人として立ち会うことができない。

正解 4

問題難易度
肢13.3%
肢27.1%
肢37.9%
肢481.7%

解説

  1. 不適切。15歳に達した者は、遺言をすることができます。遺言をするためには有効に意思を表示する精神的な能力(意思能力)が必要とされているため、遺言は満15歳以上かつ意思能力のある者ができるということになります。
    遺言は、満15歳以上で、かつ、遺言をする能力があれば、誰でもすることができる。2019.9-55-1
  2. 不適切。遺言の撤回は、原則として、新しく作成した遺言に以前の遺言を撤回する旨を記述する方法により行います。どの遺言方式も効力に違いはなく、以前と同じ方式である必要もないため、公正証書遺言の記載内容を自筆証書遺言で撤回することも可能です。
    公正証書遺言は、自筆証書遺言によって撤回することはできず、公正証書遺言によってのみ撤回することができる。2023.9-56-4
    公正証書による遺言をした者は、その遺言を自筆証書による遺言によって撤回することはできない。2021.9-53-1
  3. 不適切。遺言による遺産分割方法の指定や遺贈により相続人の遺留分が侵害された場合でも、その遺言は有効です。遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害請求を行うことで他の相続人に対して侵害された遺留分に相当する額の金銭を請求できます。
    共同相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は無効となる。2024.9-59-1
    遺言による相続分の指定または遺贈によって、相続人の遺留分が侵害された場合であっても、その遺言が無効となるわけではない。2016.9-55-4
    遺言による遺産分割方法の指定や遺贈により相続人の遺留分が侵害された場合、その遺言は無効である。2014.5-55-4
    遺言による遺産分割方法の指定や遺贈により相続人の遺留分が侵害された場合、その遺言は無効である。2013.5-52-2
  4. [適切]。未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者および直系血族等は、遺言内容とかかわりが深いため、公正証書遺言の証人になることができません。
    公正証書遺言の作成において、遺言者の配偶者は証人として立ち会うことができない。2024.5-56-1
    公正証書遺言の作成において、遺言者の推定相続人とその配偶者は証人として立ち会うことができない。2023.9-56-3
    公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。2023.5-54-1
    公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。2023.5-54-2
    公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。2022.1-56-3
    公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできない。2020.9-54-3
    公正証書遺言を作成する場合において、遺言者の配偶者は証人として立ち会うことはできない。2020.9-54-4
    公正証書遺言は、その作成時において遺言者が所有するすべての財産について受遺者を指定しなければならない。2015.1-56-1
    公正証書遺言の作成時において、遺言者の配偶者が証人として立ち会うことはできない。2014.1-54-2
したがって適切な記述は[4]です。