FP2級過去問題 2013年9月学科試験 問28(改題)

問28

居住者である個人による金融商品取引に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 上場株式の配当金について申告分離課税を選択して確定申告をした場合、配当控除の適用を受けることができる。
  2. 追加型の公募株式投資信託の元本払戻金(特別分配金)は、非課税である。
  3. 国内利付債券の譲渡益は、原則として、譲渡所得として申告分離課税の対象である。
  4. 米ドル建てのゼロクーポン債を満期償還前に売却して得た譲渡益は、原則として、譲渡所得として申告分離課税の対象となる。

正解 1

問題難易度
肢155.8%
肢212.6%
肢311.3%
肢420.3%

解説

  1. [不適切]。上場株式の配当金について、申告分離課税を選択して確定申告をした場合、上場株式等の譲渡損失との損益通算は可能ですが、配当控除の適用を受けることはできません。配当控除の適用を受けるには、確定申告で総合課税を選択する必要があります。
    上場株式の配当金について申告分離課税を選択して確定申告をした場合、配当控除の適用を受けることができる。2018.9-28-1
  2. 適切。追加型の公募株式投資信託の収益分配金は、個別元本により普通分配金と元本払戻金(特別分配金)に分けられます。普通分配金は課税対象となりますが、元本払戻金(特別分配金)は元本の払い戻しに相当するため非課税となります。
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    追加型の公募株式投資信託の元本払戻金(特別分配金)は、配当所得として所得税の課税対象となる。2015.5-28-1
    追加型の公募株式投資信託の元本払戻金(特別分配金)は、利子所得となる。2015.1-28-1
    株式投資信託の元本払戻金(特別分配金)は、配当所得として総合課税の対象となる。2014.5-30-3
  3. 適切。国内利付債券の償還前の譲渡益は、上場株式の譲渡益と同様に、譲渡所得として申告分離課税の対象となります。
    2015年(平成27年)12月31日以前は、国内利付債券の償還前の譲渡益は非課税、満期まで保有していたときの償還差益は雑所得として総合課税の対象とされていましたが、金融所得一体課税により上場株式等と同じ課税方式が適用されるようになりました。
    特定公社債等の譲渡所得については、申告分離課税の対象とされている。2018.9-28-4
    上場株式の譲渡に係る譲渡所得は、10%の申告分離課税の対象となる。2015.1-28-3
    公社債投資信託の収益分配金は、利子所得として申告分離課税の対象となる。2014.5-30-2
  4. 適切。表面利率のないゼロクーポン債(割引債)の譲渡益は、上場株式の譲渡益と同様に、譲渡所得として申告分離課税の対象となります。
    2015年(平成27年)12月31日以前は、表面利率のないゼロクーポン債(割引債)の譲渡益は、譲渡所得として総合課税の対象とされていましたが、金融所得一体課税により上場株式等と同じ課税方式が適用されるようになりました。
したがって不適切な記述は[1]です。
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