FP2級過去問題 2024年9月学科試験 問9

問9

変動金利型の住宅ローンを返済しているAさんの返済方法の見直し等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. Aさんが全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、仮に返済期間中に市中金利が上昇しても、金利の上昇分に相当する額の返済負担が増加するリスクは避けられる。
  2. Aさんが別の金融機関の住宅ローンに借り換える場合、元金均等返済を選択する方が、他の条件が同じ元利均等返済と比べて、総返済額は少なくなる。
  3. Aさんが別の金融機関の住宅ローンに借り換える場合、一般に、抵当権の抹消および借換先の金融機関の抵当権の設定が必要となり、登録免許税等の諸費用の負担が発生する。
  4. Aさんが住宅ローンの一部繰上げ返済をする場合、毎月の返済額を変更せずに返済期間を短縮する期間短縮型よりも、返済期間を変更せずに毎月の返済額を減らす返済額軽減型の方が、利息軽減効果が高くなる。

正解 4

問題難易度
肢15.9%
肢212.1%
肢35.4%
肢476.6%

解説

  1. 適切。フラット35などの全期間固定金利型は、住宅ローン完済まで契約時に定めた固定金利が適用されるので、返済期間を通じて返済負担は増減しません。変動金利や固定期間選択型のような金利上昇リスクはありません。
    全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、借換後の返済期間における市中金利の上昇によって返済負担が増加することはない。2024.1-8-2
    Aさんが全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、返済期間中に市中金利が上昇すると、金利の上昇分に相当する額の返済負担は増加する。2018.5-8-1
  2. 適切。住宅ローンの返済方法には「元金均等返済方式」と「元利均等返済方式」があります。両者を比べると、元利均等返済方式よりも元金均等返済方式のほうが元金の減り方が多いです。その分だけ支払うべき利息が少なくなるので、返済期間や金利などの条件が同じであれば、利息を含めた総返済金額は元金均等返済方式のほうが少なくなります。
    ①元金均等返済方式
    返済期間を通じて、毎月返済する元金が一定である返済方法。完済に近づくにつれ毎月の返済額が減少していく
    ②元利均等返済方式
    返済期間を通じて、毎月の返済額が一定である返済方法。完済に近づくにつれ、返済額に占める利息の割合が減り、元金の割合が増えていく
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  3. 適切。住宅ローンの借換えをする際は抵当権の付け替えが必要となるので、抵当権の抹消登記・抵当権設定登記に係る登録免許税や委託料が掛かります。また、借換先の金融機関で新規に住宅ローンを組むことになるため、当初の借入時と同じく、事務手数料、保証料、印紙代などの諸費用も掛かります。
    住宅ローンの借換えに際して、現在借入れをしている金融機関の抵当権を抹消し、借換先の金融機関の抵当権を新たに設定する場合、登録免許税等の諸費用が必要となる。2024.5-9-4
    住宅ローンの借換えに際して、A銀行の抵当権を抹消し、借換先の金融機関の抵当権を新たに設定する場合、登録免許税等の諸費用が必要となる。2024.1-8-3
    AさんがZ銀行以外の金融機関の住宅ローンに借り換えた場合、Z銀行の抵当権の抹消および借換先の金融機関の抵当権の設定が必要となるため、登録免許税等の諸費用が必要となる。2018.5-8-4
  4. [不適切]。住宅ローンの繰上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。他の条件が同じであれば、利息軽減効果が大きいのは返済期間短縮型の繰上げ返済です。
    ①返済期間短縮型
    返済額は変更せずに残りの返済期間を短縮する
    ●返済額軽減型よりも支払い利息を減少させる効果が高い
    ②返済額軽減型
    返済期間は変更せずに毎回の返済額を減額する
    ●支払利息を減らしつつ、毎月の家計の負担を軽減できる
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    住宅ローンの一部繰上げ返済では、繰上げ返済額や金利等の他の条件が同一であれば、毎回の返済額を変えずに返済期間を短縮する返済期間短縮型よりも返済期間を変えずに毎回の返済額を少なくする返済額軽減型の方が支払利息の軽減効果は大きい。2024.5-9-3
    住宅ローンの一部繰上げ返済には、毎月の返済額を変更せずに残りの返済期間を短くする返済期間短縮型と、返済期間を変更せずに毎月の返済額を減額する返済額軽減型がある。2014.5-8-1
したがって不適切な記述は[4]です。