FP2級過去問題 2025年1月学科試験 問3

問3

雇用保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 2つの事業所に雇用される65歳以上の労働者で、1つの事業所における1週間の所定労働時間がそれぞれ5時間以上20時間未満であり、2つの事業所における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上である者は、所定の要件を満たせば、申出により、雇用保険の高年齢被保険者となることができる。
  2. 雇用保険の保険料のうち、失業等給付・育児休業給付に係る保険料は、事業主が全額を負担するのに対し、雇用保険二事業に係る保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。
  3. 特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が20年以上の場合、120日である。
  4. 育児休業給付金の額は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、1支給単位期間について、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の100分の40に相当する額となる。

正解 1

問題難易度
肢160.3%
肢221.0%
肢310.4%
肢48.3%

解説

  1. [適切]。主たる事業所における1週間の所定労働時間(以下、週労働時間)が20時間未満の人は、原則として雇用保険の適用外ですが、複数の事業主に雇用されている65歳以上の労働者は、各事業所での週労働時間の合計が20時間以上である等の条件(詳細は下記)を満たせば、申出をすることにより高年齢被保険者となることができます(雇用保険マルチジョブホルダー制度)。
    1. 各事業における週労働時間が5時間以上20時間未満
    2. 2つの事業所での週労働時間の合計が20時間以上
    3. 2つの事業所それぞれの雇用見込みが31日以上
    2つの事業所に雇用される65歳以上の労働者で、1つの事業所における1週間の所定労働時間がそれぞれ10時間未満、2つの事業所における1週間の所定労働時間の合計が10時間以上である者は、所定の申出により、雇用保険の高年齢被保険者となることができる。2023.1-5-1
  2. 不適切。雇用保険の保険料は、労働者に対する給付である失業等給付と育児休業給付に係る部分は「労使折半」で負担し、事業主に対する給付である雇用保険二事業に係る部分については「事業主が全額負担」する構造となっています。本肢は逆に説明しています。
    雇用保険二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業をいい、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大等の目的のために、事業主に対し必要な助成と援助を行う事業です。新型コロナでニュースを賑わせた雇用調整助成金はこの二事業からの給付です。
    雇用保険に係る保険料のうち、失業等給付および育児休業給付に係る保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。2024.5-4-1
    雇用保険に係る保険料のうち、失業等給付および育児休業給付に係る保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。2021.5-5-4
  3. 不適切。120日ではありません。一般の受給資格者の所定給付日数は、算定基礎期間(被保険者であった期間)によってのみ決まります。算定基礎期間が10年未満の人は90日、10年以上20年未満の人は120日、20年以上の人は150日です。
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    特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年以上20年未満の場合、150日である。2024.5-4-3
    特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年未満の場合、150日である。2023.1-5-2
    特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が20年以上の場合、150日である。2022.5-4-2
    特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、被保険者期間が20年以上の場合、180日である。2020.9-3-1
  4. 不適切。100分の40ではありません。休業中に賃金が支払われていない場合の育児休業給付金の額は、育児休業開始から180日目までは「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、それ以降は同50%とされています。
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    育児休業給付金の額は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、育児休業開始日から通算して休業日数が180日に達する日を超えた日以降については、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の100分の50に相当する額となる。2024.9-5-1
    育児休業給付金の額は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、1支給単位期間について、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の100分の40に相当する額となる。2021.5-5-3
    育児休業給付金の支給額は、原則として、育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して180日に達するまでの間は、1支給単位期間当たり、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」相当額とされる。2019.5-4-3
したがって適切な記述は[1]です。