FP2級過去問題 2021年1月学科試験 問54
問54
遺産分割協議書に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。- 被相続人が作成した遺言がなく、共同相続された預貯金は、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割されるため、相続人が相続預金を引き出す際は、遺産分割協議書を作成する必要はない。
- 遺産分割協議書の形式は、法律によって特に定められていないため、公正証書以外の書面によっても作成することができる。
- 遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、原則として、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができる。
- 遺産を現物分割する内容の遺産分割協議書を作成する場合、対象となる遺産の一部について遺産分割協議が成立していないときであっても、それを除いた遺産についてのみ定めた遺産分割協議書を作成することができる。
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正解 1
問題難易度
肢166.5%
肢210.7%
肢36.5%
肢416.3%
肢210.7%
肢36.5%
肢416.3%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:3.相続と法律
解説
- [不適切]。被相続人の有していた債権債務は、相続開始と同時に相続分に従って相続人に承継されるのが原則ですが、共同相続された預貯金(債権)は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象に含まれます(最判平28.12.19)。預貯金を共同相続した場合には共同相続人の共有に属することになるので、遺産分割が行われるまでは、各相続人が単独で解約や払戻しを行うことはできません。よって、相続預金を引き出す際には、金融機関に遺産分割協議書を提出する必要があります。
これだと、当面の生活費や葬儀費用に不便が生じる可能性があるため、2019年7月の民法改正で「預貯金払戻し制度」が新設され、一部を単独で払戻しできるようになりました。 - 適切。遺産分割協議書の形式は特に定められていません。インターネット上では遺産分割協議書ひな型がたくさん配布されているため個人で作成することも可能です。遺産分割協議書は、公正証書によって作成しなければならない。(2024.9-55-4)
- 適切。遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停※1(または審判※2)により分割する方法があります。
※1客観的な立場の調停委員に間に入ってもらい、当事者である相続人同士が、裁判所で話し合う手続きのこと
※2裁判官が諸般の事情を考慮して、遺産分割の方法を決定する手続きのこと遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、原則として、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができる。(2024.9-55-3)遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人はその分割を公証人に請求することができる。(2022.9-53-2)遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。(2019.5-54-3)遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合には、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることができる。(2019.1-56-1)遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。(2017.9-54-3)遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。(2015.5-55-4)遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。(2014.5-54-2) - 適切。共同相続人は、いつでも遺産の全部または一部を分割することができます。遺産分割が2回以上に分かれるときなどは、遺産の一部だけに関する遺産分割協議書を作成することも可能です。遺産を現物分割する旨の遺産分割協議書を作成する際に、一定の場合を除き、遺産の一部についてのみ定めた遺産分割協議書を作成することができる。(2022.5-55-3)
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