FP2級過去問題 2019年5月学科試験 問54

問54

遺産分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
  2. 遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。
  3. 遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
  4. 適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議の解除は認められない。

正解 4

問題難易度
肢110.9%
肢210.1%
肢36.4%
肢472.6%

解説

  1. 適切。遺産の分割は、原則として、相続が開始した後は自由にできますが、被相続人は、遺言によって相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2024.9-55-1
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2023.1-55-4
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から1年間に限り、遺産の分割を禁ずることができる。2022.9-53-3
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2020.1-56-4
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2017.9-54-1
    被相続人は、遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2016.1-55-1
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2015.10-54-1
  2. 適切。民法906条では、遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うこととされています。年少者、障害を有する者、生活困窮者など各相続人の実情に応じた細かい配慮をして、各人にふさわしい財産が配分されるように分割すべきという趣旨の規定です。
    遺産の分割は、民法上、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。2022.9-53-1
    遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。2017.9-54-2
  3. 適切。共同相続人間において遺産分割協議が調わない場合、家庭裁判所に対して遺産分割の調停を申し立て(調停分割※1)、それでも合意成立しない場合、家事裁判官による審判を行い(審判分割※2)、遺産分割が行われます。
    ※1客観的な立場の調停委員に間に入ってもらい、当事者である相続人同士が、裁判所で話し合う手続きのこと
    ※2裁判官が諸般の事情を考慮して、遺産分割の方法を決定する手続きのこと
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、原則として、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができる。2024.9-55-3
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人はその分割を公証人に請求することができる。2022.9-53-2
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、原則として、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができる。2021.1-54-3
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合には、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることができる。2019.1-56-1
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。2017.9-54-3
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。2015.5-55-4
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。2014.5-54-2
  4. [不適切]。遺産分割協議がすでに成立した場合でも、相続人全員の合意があれば、遺産の再分割協議をすることが認められています。
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、解除することは認められない。2023.1-55-1
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議を解除し、再度、遺産分割協議を行うことはできない。2022.5-55-4
    すでに成立している遺産分割協議においては、共同相続人全員の合意があったとしても、当該遺産分割協議の全部または一部を解除することはできない。2016.5-54-4
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議の解除や再分割協議をすることは認められない。2014.5-54-4
したがって不適切な記述は[4]です。