FP2級過去問題 2021年3月学科試験 問1

問1

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も適切なものはどれか。
  1. 税理士資格を有しないFPのAさんが、税金の相談に来た顧客からの求めに応じ、その顧客が提出すべき確定申告書を無償で代理作成した。
  2. 司法書士資格を有しないFPのBさんが、ライフプランの相談に来た顧客からの求めに応じ、その顧客の代理人(任意後見受任者)となることを有償で引き受け、任意後見契約を締結した。
  3. 社会保険労務士資格を有しないFPのCさんが、年金の相談に来た顧客からの求めに応じ、有償で公的年金の裁定請求手続きを代行した。
  4. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのDさんが、資産運用の相談に来た顧客からの求めに応じ、有償の投資顧問契約を締結し、当該契約に基づき、その顧客に株式の個別銘柄に関する投資の助言を行った。

正解 2

解説

  1. 不適切。税理士の独占業務は、「税務代理」「税務書類の作成」、個別具体的な「税務相談」の3つです。税理士の資格を持たない者が、この3つの業務を行うことは有償・無償を問わず禁じられています。そのため、税理士資格を有していないFPは無償であっても税務書類の作成を行うことはできません。
    税理士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、年金生活者である顧客からの要請により、当該顧客が提出すべき確定申告書を無償で代理作成した。2016.9-1-1
  2. [適切]。任意後見受任者(任意後見人)となるのに特別な資格は必要ありません。司法書士資格を有しないFPでも、有償・無償を問わず任意後見契約の受任者になることはできます。
    高齢の顧客から将来の財産の管理について相談を受けたファイナンシャル・プランナーのCさんは、顧客からの求めに応じ、顧客の代理人(任意後見受任者)となることを引き受け、任意後見契約を締結した。2016.5-1-3
    司法書士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、顧客からの求めに応じ、顧客の代理人(任意後見受任者)となることを引き受け、任意後見契約を締結した。2015.10-1-4
    司法書士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、ライフプランの相談に来た顧客からの求めに応じ、顧客の代理人(任意後見受任者)となることを引き受け、任意後見契約を締結した。2015.5-1-4
  3. 不適切。社会保険労務士の独占業務は、労働社会保険諸法令に基づく「申請書類の作成、提出手続きの代行」「申告等の代理」「帳簿書類の作成」です。社労士資格を有しないFPが、公的年金の裁定請求手続きなどの申請書の作成や提出を代行することは社会保険労務士の独占業務なので行うことはできません。
    社会保険労務士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、年金の相談に来た顧客からの求めに応じ、有償で公的年金の裁定請求手続きを代行した。2015.5-1-3
  4. 不適切。投資顧問契約に基づく助言や代理に係る業務を行う者は、金融商品取引業として内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。登録を受けずに有償の契約に基づく投資助言を行うと金融商品取引法違反となります。
    金融商品取引業の登録を受けていないFPのAさんは、顧客と資産運用に関する投資顧問契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄の購入を勧めた。2023.9-1-1
    金融商品取引業の登録を受けていないFPのDさんは、顧客と資産運用に関する投資顧問契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄を示し、その購入を勧めた。2021.9-[1-4
    金融商品取引業の登録を受けていないFPのDさんは、顧客と資産運用に関する投資助言契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄の購入を勧めた。2021.5-1-4
    金融商品取引業の登録を受けていないFPのDさんは、顧客と資産運用に関する投資助言契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄の購入を勧めた。2020.1-1-4
    金融商品取引業の登録を受けていないFPが、顧客と資産運用に関する投資顧問契約を締結したうえで、値上がりが期待できる株式の個別銘柄を推奨し、その購入を勧めた。2018.5-1-4
    金融商品取引業の登録を受けていないファイナンシャル・プランナーが、資産運用の相談に来た顧客に対し、有償の投資顧問契約を締結し、株式の個別銘柄を推奨した。2015.9-1-2
したがって適切な記述は[2]です。