相続と税金(全60問中35問目)

No.35

相続財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年5月試験 問55
  1. 相続または遺贈によって取得した財産のうち、被相続人に帰属する一身専属権は、相続税の課税財産とならない。
  2. 被相続人に対して支給されるべきであった退職金を相続人が受け取った場合、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続税の課税財産となる。
  3. 被相続人からの贈与で贈与税の配偶者控除の適用を受けた財産のうち、その控除額に相当する金額は、相続が開始する前7年以内の贈与であっても相続財産に加算する必要はない。
  4. 相続時精算課税制度の適用を受けて取得した贈与財産は、相続開始時の相続税評価額で相続財産に加算される。

正解 4

問題難易度
肢114.1%
肢29.7%
肢339.5%
肢436.7%

解説

  1. 適切。相続人は、被相続人の一切の権利義務を承継しますが、一身専属的な権利は相続の対象とはなりません。よって、当然に相続税の課税財産にもなりません。
    【参考】一身専属的な権利とは、権利の性質上、特定の人のみが行使でき、第三者に譲渡できない権利です。
  2. 適切。相続人の死亡により支給される死亡退職金のうち、死亡後3年以内に支給額が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。これに対して、3年を超えてから支給が確定したものは、遺族の一時所得として所得税が課されます。
    被相続人に対して支給されることが確定していた退職金で、相続開始時において被相続人に支給されていなかったものは、相続税の課税対象となる。2019.5-55-2
  3. 適切。贈与税の配偶者控除の適用を受けた居住用財産のうち、控除された金額に相当する部分は生前贈与加算の対象外です。よって、贈与から7年以内に贈与者が死亡しても、適用を受けた額については相続税の課税価格に加算する必要はありません。
  4. [不適切]。相続開始時の相続税評価額ではありません。相続時精算課税の適用を受けて贈与された財産は、贈与時の価額から基礎控除額を控除した後の残額が相続税の課税価格に加算されます。
したがって不適切な記述は[4]です。