FP2級過去問題 2019年9月学科試験 問44

問44

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
  1. 普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は30年となる。
  2. 借地権者が借地上の建物を第三者に売却した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡を承諾しないときは、建物を取得した第三者は、借地権設定者に対して、当該建物の買取りを請求することができる。
  3. 存続期間を10年以上30年未満とする定期借地権には建物の用途に関する制限があり、店舗、事務所等の事業用建物の所有を目的とした契約に限定される。
  4. 建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の使用を継続する賃借人が借地権設定者に対して請求をしたときには、賃借人と借地権設定者との間で存続期間を2年とする建物の賃貸借がされたものとみなされる。

正解 4

問題難易度
肢112.0%
肢29.3%
肢330.8%
肢447.9%

解説

  1. 適切。借地借家法では、普通借地権の存続期間を30年以上と定めています。期間を定めなかった場合、存続期間は30年となります。
    普通借地権の設定契約において、期間の定めがないときは、存続期間は30年とされる。2023.9-44-1
    一般定期借地権の存続期間は、50年以上としなければならない。2023.5-44-2
    普通借地権の存続期間は30年とされており、契約でこれより長い期間を定めることはできない。2023.5-44-3
    普通借地権の設定契約において、その存続期間は50年を超えることができない。2023.1-44-1
    普通借家契約において、賃貸借の存続期間は50年を超えてはならない。2021.5-43-1
    普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は50年となる。2020.9-44-1
    普通借地権の設定当初の存続期間は、契約で期間の定めがない場合、建物の構造による区別なく一律20年とされる。2019.1-43-1
    普通借地権の設定契約では、当該契約により30年を超える存続期間を定めることができる。2017.9-43-1
    普通借地権の設定当初の存続期間は、借地上の建物の構造にかかわらず、最短で30年とされる。2016.1-43-1
    一般定期借地権の存続期間は50年とされ、貸主および借主の合意によりこれより長い期間を定めても、存続期間は50年とされる。2013.1-43-3
  2. 適切。借地権者が借地上の建物を第三者に譲渡した場合に、借地権設定者(貸主)が土地借地権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、建物を取得した第三者は借地権設定者に対して借地上の建物を時価で買い取るように請求できます。
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    借地権者が借地上の建物とともに借地権(土地の賃借権)を第三者に譲渡する場合は、特約がない限り借地権設定者の承諾または借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可が必要となる。2013.5-43-2
  3. 適切。定期借地契約の種類と存続期間は次のようになっています。
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    定期借地権で存続期間を10年以上30年未満とするには事業用定期借地権等しか選択できないため、店舗や事業用建物の所有を目的とした契約に限定されます。
    存続期間を50年以上とする定期借地権には建物の用途に関する制限があり、店舗または事務所等の事業用建物の所有を目的として設定することができない。2017.9-43-3
  4. [不適切]。建物譲渡特約付借地権は、定期借地権のひとつで、借地権設定後30年以上を経過した日に、借地上の建物を地主に相当の対価で譲渡することで、借地契約を終了させることを定めたものです。契約終了後に賃借人が借地権設定者に対して建物の継続使用を請求した場合には、その建物について期間の定めがない賃貸借契約がされたとみなされます。
    建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の使用を継続する賃借人が借地権設定者に対して請求をしたときには、賃借人と借地権設定者との間で存続期間を2年とする建物の賃貸借がされたものとみなされる。2017.9-43-4
したがって不適切な記述は[4]です。