FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問44(改題)

問44

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権、第23条の借地権を事業用定期借地権等といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
  1. 普通借地権の設定契約において、その存続期間は50年を超えることができない。
  2. 借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができない。
  3. 一般定期借地権の設定契約を公正証書等の書面(電磁的記録による場合を含む)で行う場合は、その存続期間を30年とすることができる。
  4. 法人は従業員の社宅として利用する建物の所有を目的として、事業用定期借地権等の設定契約をすることができる。

正解 2

問題難易度
肢114.3%
肢238.8%
肢329.4%
肢417.5%

解説

  1. 不適切。普通借地権の当初の存続期間は30年以上とされています。上限はないので50年を超える契約も可能です。
    普通借地権の設定契約において、期間の定めがないときは、存続期間は30年とされる。2023.9-44-1
    一般定期借地権の存続期間は、50年以上としなければならない。2023.5-44-2
    普通借地権の存続期間は30年とされており、契約でこれより長い期間を定めることはできない。2023.5-44-3
    普通借家契約において、賃貸借の存続期間は50年を超えてはならない。2021.5-43-1
    普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は50年となる。2020.9-44-1
    普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は30年となる。2019.9-44-1
    普通借地権の設定当初の存続期間は、契約で期間の定めがない場合、建物の構造による区別なく一律20年とされる。2019.1-43-1
    普通借地権の設定契約では、当該契約により30年を超える存続期間を定めることができる。2017.9-43-1
    普通借地権の設定当初の存続期間は、借地上の建物の構造にかかわらず、最短で30年とされる。2016.1-43-1
    一般定期借地権の存続期間は50年とされ、貸主および借主の合意によりこれより長い期間を定めても、存続期間は50年とされる。2013.1-43-3
  2. [適切]。普通借地権の存続期間が満了し契約の更新がないとき、借地権者は借地権設定者に対して、借地上の建物等を時価で買い取るべきことを請求できます(建物買取請求権)。
    建物買取請求権は、借地権の存続期間が満了し契約の更新がないときに認められる権利ですから、それ以外の理由(合意解除や債務不履行解除)によって終了するときは行使することはできません。
    借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2022.5-44-3
    普通借地権の存続期間満了前に、借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2021.9-43-2
    普通借地権の当初の存続期間が満了する場合において、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、借地上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。2019.5-44-2
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2018.1-44-2
    借地権者は、普通借地権について登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2017.5-44-3
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対し、建物を建築費で買い取るよう請求することができる。2017.5-44-4
    借地権者は、普通借地権について登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2016.1-43-2
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2016.1-43-4
    普通借地権の設定契約において地代を減額しない旨の特約がある場合、借地権者はいかなる場合も借地権設定者に地代の減額を請求することはできない。2015.5-44-4
    普通借地権の存続期間が満了する場合で契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対して、借地権の目的である土地上の建物等を時価で買い取るべきことを請求することができる。2014.1-45-3
  3. 不適切。一般定期借地権の存続期間は50年以上でなければなりません。よって、30年の契約とすることはできません。
    一般定期借地権の設定契約において、存続期間は30年とすることができる。2023.9-44-3
    一般定期借地権において、もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。2021.9-43-3
    一般定期借地権において、もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。2020.1-43-3
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。2019.5-44-4
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によって締結しなければならない。2018.5-44-3
    一般定期借地権においては、専ら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、その存続期間を10年以上30年未満として設定することができる。2018.1-44-3
    一般定期借地権の設定登記をした場合、存続期間などの登記事項は、登記記録の権利部乙区に記録される。2015.10-43-1
    一般定期借地権の設定登記をした場合、存続期間などの登記事項は、登記記録の権利部乙区に記録される。2015.1-43-2
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によって締結しなければならない。2015.1-43-3
    一般定期借地権は、設定登記をしなければその効力が生じない。2014.5-42-2
  4. 不適切。事業用定期借地権等の目的は、居住用を除く事業用建物の所有に限定されているため、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することはできません。
    事業の用に供する建物の所有を目的とするときは、一般定期借地権を設定することができない。2023.5-44-1
    事業の用に供する建物の所有を目的とするときは、一般定期借地権を設定することができない。2021.1-43-4
したがって適切な記述は[2]です。