FP2級過去問題 2013年5月学科試験 問43(改題)

問43

借地借家法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
  1. 普通借地権の存続期間満了に伴い、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、その土地の上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一条件で契約を更新することができる。
  2. 借地権者が借地上の建物とともに借地権(土地の賃借権)を第三者に譲渡する場合は、特約がない限り借地権設定者の承諾または借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可が必要となる。
  3. 存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。
  4. 存続期間を50年以上とする一般定期借地権において、契約の更新がない等の特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。

正解 1

問題難易度
肢153.3%
肢211.9%
肢316.8%
肢418.0%

解説

  1. [不適切]。本肢は「建物が存在しなくても」としているため誤りです。普通借地権の存続期間満了の際に、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、借地上に建物がある場合に限り、契約を更新したものとみなされます。これを「請求更新」といいます。
    普通借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在しない場合は、借地権者が契約の更新を請求しても、従前の契約と同一の条件で契約が更新されたものとはみなされない。2023.9-44-2
    普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。2023.5-44-4
    普通借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在しない場合、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなす。2022.5-44-2
    普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。2021.1-43-2
    普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。2020.1-43-2
    普通借地権の存続期間満了に伴い、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、その土地の上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。2018.5-44-1
    普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約を請求したときは、借地上に建物がない場合でも、従前の契約と同一の条件を更新したものとみなされる。2017.9-43-2
    普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、借地上に建物がない場合でも、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。2016.1-43-3
    普通借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、当該土地上に建物がなくても、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなされる。2015.5-44-2
    普通借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、当該土地上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなされる。2014.1-45-2
    普通借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、原則として、従前の契約と同一条件(更新後の期間を除く)で契約を更新したものとみなされる。2013.1-43-2
  2. 適切。土地を借りている人が、借地上の建物といっしょに借地権を第三者に譲渡・転貸する場合、民法上では借地権設定者の承諾が必要です。しかし、これでは借地権設定者が承諾しなければ建物を譲渡できなくなってしまいます。このため借地借家法では、借地権者が裁判所に申し出ることで、裁判所から借地権設定者の承諾に代わる許可を受けられるようにしています。
    借地権者が借地上の建物を第三者に売却した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡を承諾しないときは、建物を取得した第三者は、借地権設定者に対して、当該建物の買取りを請求することができる。2019.9-44-2
  3. 適切。一般定期借地権では、所有する建物の用途に制限はありません。よって、居住用と事業用のどちらでも設定することができます。
    事業用定期借地権等においては、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2021.9-43-4
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2020.9-44-3
    事業用定期借地権等においては、一部を居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、その存続期間を10年以上30年未満として設定することができる。2019.5-44-3
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人の従業員向けの社宅の用に供する建物の所有を目的として設定することができない。2018.5-44-4
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。2015.10-43-4
    事業用定期借地権等は、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することができる。2015.9-43-2
    一般定期借地権は、専ら居住の用に供する建物の所有を目的とするもので、事業の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-1
    事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするもので、居住の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-3
  4. 適切。一般定期借地権を設定する特約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。「公正証書による等書面」というのは条文上の表現なのでわかりにくいですが、おすすめは公正証書ですけど書面であればOKという意味です。
    43.png./image-size:540×236
    一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2023.9-44-4
    普通借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.9-43-1
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.1-43-3
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2020.1-43-4
    一般定期借地権においては、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、買取りの請求をしないこととする旨を定めることができるが、その特約は公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2018.1-44-4
    一般定期借地権において、契約の更新がないこととする旨の特約等は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。2015.9-43-3
    定期借家契約は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によって締結しなければならない。2015.1-44-3
    定期借家契約は、書面(電磁的記録による場合を含む)によらなくても成立する。2014.5-43-1
    定期借家契約を締結する場合は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2013.1-44-4
したがって不適切な記述は[1]です。