FP2級過去問題 2020年1月学科試験 問21

問21

経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 景気動向指数は、生産、雇用などさまざまな経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって作成された指標であり、コンポジット・インデックス(CI)を中心として公表される。
  2. 消費動向指数は、家計調査の結果を補完し、消費全般の動向を捉える分析用のデータとして作られた指標であり、世帯消費動向指数(CTIミクロ)と総消費動向指数(CTIマクロ)の2つの指標体系で構成される。
  3. 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営のために、統計法に基づいて日本銀行が行う調査であり、全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施される。
  4. マネーストック統計は、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を示す統計であり、一般法人、金融機関、個人、中央政府、地方公共団体などの経済主体が保有する通貨量の残高を集計したものである。

正解 4

問題難易度
肢110.5%
肢212.7%
肢313.9%
肢462.9%

解説

  1. 適切。景気動向指数は、内閣府が毎月発表しているもので、生産や雇用に関する指標など、景気に敏感な指標を統合したものです。景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。
    コンポジット・インデックス(CI)
    景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的とする指数。一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面となる。
    ディフュージョン・インデックス(DI)
    景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする指数。景気拡張局面では50%を上回り、後退局面では下回る傾向がある。
    従来、景気動向指数はDIを中心とした公表形態でしたが、近年、景気変動の大きさや量感を把握することがより重要になっていることから、 2008年4月分以降、CI中心とした公表形態に移行しています。
    景気動向指数は、生産、雇用などさまざまな経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって作成された指標であり、ディフュージョン・インデックス(DI)を中心として公表される。2023.9-21-1
    景気動向指数は、生産、雇用などさまざまな経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合し、景気の現状把握や将来予測をするための指標である。2018.1-21-2
  2. 適切。消費動向指数(CTI)は、家計調査の結果を補完し、消費全般の動向を捉える分析用のデータで、総務省が公表しています。総消費動向指数(CTIマクロ)は、我が国における世帯全体の消費支出総額の推移を推測する指数、世帯消費動向指数(CTIミクロ)は、基準年である2015年を100として世帯の消費支出の平均額の推移を示す指数です。
  3. 適切。日銀短観は、製造業を17業種、非製造業を14業種に区分し、国内の資本金2千万円以上の企業(約1万社)を対象に、業績や設備投資、雇用状況などのアンケート調査を行った結果をまとめたものです。毎年3か月毎(3月・6月・9月・12月)に実施されます。
    全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、全国の企業動向を的確に把握し金融政策の適切な運営のために、統計法に基づいて行われる調査である。2018.1-21-4
  4. [不適切]。マネーストック統計とは、一般法人、個人、地方公共団体などが保有する通貨量の残高を表すもので、景気、物価の動向やその先行きを判断するための統計の1つです。日本銀行毎月公表しています。
    日本では通貨保有主体を、「一般法人、個人、地方公共団体・地方公営企業」として集計しています。本肢は「中央政府、金融機関」を含めているので誤りです。
したがって不適切な記述は[4]です。