FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問30

問30

金融商品の取引等に係る各種法令に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「金融サービスの提供に関する法律」を金融サービス提供法、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」を犯罪収益移転防止法という。
  1. 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合、その交付義務は免除される。
  2. 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができるが、特定の金融機関に所属し、その指導および監督を受けなければならないとされている。
  3. 消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は、当該契約によって生じた損害について賠償を請求することができるとされている。
  4. 犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。

正解 4

問題難易度
肢15.5%
肢214.4%
肢333.5%
肢446.6%

解説

  1. 不適切。金融商品取引法に基づく契約締結前書面の交付義務は、一般投資家である顧客が「書面の交付は不要である」旨を申し出たときであっても免除されません。なお、金融サービス提供法に基づいて行われる金融商品販売前の重要事項の説明については、顧客が不要と申し出た場合には行わなくてもよいとされています。
    金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合には、金融商品取引業者等に対する書面交付義務は免除される。2020.1-30-2
  2. 不適切。金融サービス仲介業は、2021年施行の金融サービス提供法により新たに創設された業種です。これまでは銀行との仲介を行うには銀行代理業、証券会社との仲介を行うには金融商品仲介業、保険会社との仲介を行うには保険募集人といったように個々に登録を受け、所属する金融機関から指導・監督を受ける必要がありました。これに対し、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、一つの登録だけで「銀行」「証券」「保険」「貸金業」のすべての金融サービスの仲介をワンストップで提供することが可能です。金融サービス仲介業者は特定の金融機関に所属しないので、利用者保護のために利用者財産の受入禁止や保証金の供託義務などの措置が講じられています。
    参考:金融庁-金融サービス仲介法制
    https://www.fsa.go.jp/common/diet/201/01/setsumei.pdf
  3. 不適切。消費者契約法では、不当な勧誘など事業者の一定の不適切な行為により、消費者が誤認または困惑をして契約を締結した場合、その契約を取り消すことができます。損害賠償請求できる規定はありません。
    消費者契約法において、消費者が事業者の一定の行為により誤認または困惑し、それによって消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとされている。2024.5-30-1
    消費者契約法において、消費者が事業者の一定の行為により誤認または困惑し、それによって消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとされている。2023.5-30-4
    消費者契約法では、事業者の一定の行為により、消費者が誤認または困惑した場合、消費者は、消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができるとされている。2021.1-29-3
    消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者はこれを取り消すことができるとされている。2020.9-30-3
    消費者契約法では、事業者の一定の行為により消費者が誤認または困惑した場合、消費者は、消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができるとされている。2020.1-30-3
    消費者契約法では、事業者の一定の行為により、消費者が誤認・困惑した場合について、消費者契約の申込み・承諾の意思表示を取り消すことができるとされている。2019.1-30-3
    消費者契約法では、事業者の一定の行為により、消費者が誤認・困惑した場合について、消費者契約の申込み・承諾の意思表示を取り消すことができるとされている。2015.9-30-2
    消費者契約法において、事業者の一定の行為により消費者が誤認または困惑し、それによって消費者が契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとしている。2013.1-30-3
  4. [適切]。犯罪収益移転防止法はマネーロンダリング対策として制定された法律です。法に規定する特定事業者は、特定業務についての取引記録を作成し、取引日から7年間保存しなければなりません。また、金融機関の窓口で10万円を超える現金を振り込む場合や200万円を超える現金の受払いをする場合等に、本人確認や取引目的などの確認を義務付けています。
    犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から5年間保存しなければならないとされている。2022.1-30-4
    犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。2020.1-30-4
したがって適切な記述は[4]です。