FP2級過去問題 2024年5月学科試験 問55

問55

民法に規定する相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人に指定されていた相続人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取った場合、その相続について単純承認をしたものとみなされる。
  2. 相続人が相続の単純承認をした場合、原則として、被相続人のすべての権利義務を承継する。
  3. 相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、家庭裁判所に相続の放棄をする旨を申述しなければならない。
  4. 被相続人の子が相続の放棄をした場合、その相続の放棄をした者の子(被相続人の孫)は、代襲相続人とならない。

正解 1

問題難易度
肢151.9%
肢213.2%
肢318.3%
肢416.6%

解説

  1. [不適切]。相続の開始を知りながら、相続財産の全部または一部を処分した相続人は、一部の例外を除き、単純承認をしたものとみなされます。しかし、被相続人の死亡により受け取る死亡保険金は、本来の相続財産ではなく、受取人の固有財産(相続税法上はみなし相続財産)です。したがって、死亡保険金を受け取っても、またその死亡保険金を処分しても単純承認したとはみなされません。
  2. 適切。単純承認では、被相続人の権利義務(資産・債務)の全てを相続します。現預金、不動産、株式などのいわゆるプラスの財産(積極財産)のほか、借金や未払金などの債務つまりマイナスの財産(消極財産)も承継することになります。
  3. 適切。相続の放棄や限定承認をする場合は、相続の開始があったことを知った時から原則として3カ月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。その期間が過ぎると自動的に単純承認したものとみなされます。
    相続の放棄をする場合は、相続人は相続の開始があったことを知った時から原則として6ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない。2023.1-56-4
    相続の放棄をしようとする者が一人でもいる場合は、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、共同相続人全員が、家庭裁判所に対して、相続の放棄をする旨を申述しなければならない。2018.9-55-1
    限定承認をしようとする場合、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、その旨を家庭裁判所に相続人全員が共同して申述しなければならない。2018.9-55-3
    単純承認をしようとする相続人は、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。2014.9-54-2
    限定承認をしようとする場合、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、その旨を家庭裁判所に相続人全員が共同して申述しなければならない。2014.9-54-3
  4. 適切。相続の放棄をした者には代襲相続の適用がないので、放棄した者の子(被相続人の孫)がいても相続人にはなれません。代襲相続が生じるのは、本来相続人となるべきだった人が死亡・欠格・廃除により相続権を失った場合です。
    被相続人の子が廃除により相続権を失った場合、その者に被相続人の直系卑属である子がいるときは、その子(被相続人の孫)は代襲相続人となる。2024.1-54-3
    被相続人の子が相続開始以前に廃除により相続権を失った場合、その者に子がいるときは、その子(被相続人の孫)は代襲相続人となる。2022.1-55-3
    相続人となるべき被相続人の子が相続の放棄をした場合、その放棄した子の子が代襲して相続人となる。2020.9-53-4
    被相続人の子が相続開始以前に廃除により相続権を失っているときは、その相続権を失った者に子がいても、その子(被相続人の孫)は代襲相続人とならない。2020.1-54-2
    相続人が相続の放棄をした場合、放棄をした者の子が、放棄をした者に代わって相続人となる。2018.9-55-4
    被相続人の子Cさんが相続の放棄をした場合、Cさんの子Dさんが代襲して相続人となる。2018.1-54-4
    被相続人の子Aさんが相続の放棄をした場合、Aさんの子Bさんが代襲して相続人となる。2016.9-54-3
    相続人が相続の放棄をした場合、放棄をした者の子が、放棄をした者に代わって相続人となる。2014.9-54-4
したがって不適切な記述は[1]です。