FP2級過去問題 2025年5月学科試験 問54

問54

民法に規定する相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 相続の単純承認をした相続人は、被相続人の財産のうち、積極財産のみを相続する。
  2. 相続の放棄をする相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
  3. 相続人が相続の放棄をした場合、その放棄をした者の子が代襲して相続人となる。
  4. 限定承認は、相続人が複数いる場合であっても、限定承認を行おうとする者が単独ですることができる。

正解 2

問題難易度
肢13.5%
肢274.4%
肢310.1%
肢412.0%

解説

  1. 不適切。単純承認では、被相続人の積極財産・消極財産の全てを相続します。「積極財産」は現預金や不動産、株式などいわゆるプラスの財産のことです。一方、「消極財産」は借金や未払金などの債務、つまりマイナスの財産を指します。
    相続の単純承認をした相続人は、被相続人の財産のうち、積極財産のみを相続する。2023.1-56-2
  2. [適切]。相続の放棄や限定承認をする場合は、相続の開始があったことを知った時から原則として3カ月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。その期間が過ぎると自動的に単純承認したものとみなされます。
    相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、家庭裁判所に相続の放棄をする旨を申述しなければならない。2024.5-55-3
    相続の放棄をする場合は、相続人は相続の開始があったことを知った時から原則として6ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない。2023.1-56-4
    相続の放棄をしようとする者が一人でもいる場合は、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、共同相続人全員が、家庭裁判所に対して、相続の放棄をする旨を申述しなければならない。2018.9-55-1
    単純承認をしようとする相続人は、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。2014.9-54-2
  3. 不適切。相続の放棄をした者には代襲相続の適用がないので、放棄した者の子(被相続人の孫)がいても相続人にはなれません。代襲相続が生じるのは、本来相続人となるべきだった人が死亡・欠格・廃除により相続権を失った場合です。
    被相続人の子が相続の放棄をした場合、その相続の放棄をした者の子(被相続人の孫)は、代襲相続人とならない。2024.5-55-4
    相続人となるべき被相続人の子が相続の放棄をした場合、その放棄した子の子が代襲して相続人となる。2020.9-53-4
    相続人が相続の放棄をした場合、放棄をした者の子が、放棄をした者に代わって相続人となる。2018.9-55-4
    被相続人の子Cさんが相続の放棄をした場合、Cさんの子Dさんが代襲して相続人となる。2018.1-54-4
    被相続人の子Aさんが相続の放棄をした場合、Aさんの子Bさんが代襲して相続人となる。2016.9-54-3
    相続人が相続の放棄をした場合、放棄をした者の子が、放棄をした者に代わって相続人となる。2014.9-54-4
  4. 不適切。単独ではできません。限定承認をするには、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があります。
    限定承認とは、積極財産(プラスの財産)の範囲内で、消極財産(マイナスの財産)を相続するものです。
    限定承認は、相続人が複数いる場合、限定承認を行おうとする者が単独ですることができる。2023.1-56-3
したがって適切な記述は[2]です。