FP2級過去問題 2020年1月学科試験 問56

問56

遺産分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 共同相続された預貯金は遺産分割の対象となり、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割されるものではない。
  2. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
  3. 相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。
  4. 被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。

正解 1

問題難易度
肢147.8%
肢219.9%
肢316.9%
肢415.4%

解説

  1. [適切]。被相続人の有していた債権債務は、相続開始と同時に相続分に従って相続人に承継されるのが原則ですが、共同相続された預貯金(債権)は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象に含まれます。預貯金を共同相続した場合には共同相続人の共有に属することになるので、遺産分割が行われるまでは、各相続人が単独で解約や払戻しを行うことはできません。
    これだと、当面の生活費や葬儀費用に不便が生じる可能性があるため、2019年7月の民法改正で「預貯金払戻し制度」が新設され、一部を単独で払戻しできるようになりました。
  2. 不適切。代償分割は、相続人のうち特定の者が被相続人の資産を取得して、その代償としてその者が自己の財産を他の相続人に交付する方法で、家庭裁判所の審判を必要としません。家庭裁判所の審判を受けて分割する方法は「審判分割」と呼ばれます。
  3. 不適切。換価分割は、共同相続人が相続によって取得した財産の全部または一部を現金化して、その代金を分けることで遺産分割をする方法です。換価分割において換価代金を分割した場合、各相続人が取得した代金は譲渡所得として所得税が課税されます。
  4. 不適切。遺産の分割は、原則として相続が開始した後は自由にできますが、被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。
したがって適切な記述は[1]です。