FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問55

問55

遺産分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、解除することは認められない。
  2. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる。
  3. 相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。
  4. 被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

正解 4

問題難易度
肢14.0%
肢228.5%
肢317.5%
肢450.0%

解説

  1. 不適切。共同相続人全員の合意がある場合、すでに成立した遺産分割協議を解除し、再度、遺産分割協議を行うことができます。
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議を解除し、再度、遺産分割協議を行うことはできない。2022.5-55-4
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議の解除は認められない。2019.5-54-4
    すでに成立している遺産分割協議においては、共同相続人全員の合意があったとしても、当該遺産分割協議の全部または一部を解除することはできない。2016.5-54-4
    適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議の解除や再分割協議をすることは認められない。2014.5-54-4
  2. 不適切。代償分割は、共同相続人のうち特定の者に相続財産の現物を取得させ、その取得した相続人が、他の相続人に対して代わりとなる自己の財産(代償財産)を交付する方法です。家庭裁判所の審判を受ける必要はなく、遺産分割協議においても選択することができます。家庭裁判所の審判を受けて分割する方法は「審判分割」と呼ばれます。
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。2023.5-53-3
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。2020.1-56-2
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。2019.1-56-4
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述することにより認められる分割方法である。2015.5-55-3
  3. 不適切。換価分割は、相続財産の全部または一部を現金化して、その代金を共同相続人間で分けることで遺産分割をする方法です。共同相続人が換価代金を受け取った場合、換価代金の配分割合で相続財産を取得して売ったとみなされるため、譲渡益があれば、各相続人の譲渡所得として所得税の課税対象になります。
    相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税法上、非課税所得とされている。2022.9-53-4
    相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。2020.1-56-3
  4. [適切]。遺産の分割は、原則として相続が開始した後は自由にできますが、被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から1年間に限り、遺産の分割を禁ずることができる。2022.9-53-3
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2020.1-56-4
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2019.5-54-1
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2017.9-54-1
    被相続人は、遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2016.1-55-1
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2015.10-54-1
したがって適切な記述は[4]です。