FP2級過去問題 2021年3月学科試験 問52

問52

贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 子が父から著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合、原則として、その財産の譲渡時の時価と対価との差額は、子が父から贈与により取得したものとして贈与税の課税対象となる。
  2. 子が父の所有する土地を無償で借り、その土地の上に建物を建築した場合、父から子へ借地権の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。
  3. 贈与税の課税を免れるために、離婚を手段として財産分与により財産を取得したと認められる場合、その取得した財産は贈与税の課税対象となる。
  4. 父の名義である土地を対価の授受を行わずに子の名義に変更した場合、原則として、父から子へ土地の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。

正解 2

解説

  1. 適切。著しく低い価額の対価での財産の譲渡(低額譲受)があった場合、その財産の譲渡時の通常の取引価額と対価との差額を贈与により取得したとみなされ、差額分が贈与税の課税対象となります。
    子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。2024.1-52-2
    子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を限度に、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。2022.9-52-3
    子が母から著しく低い価額の対価で土地の譲渡を受けた場合、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を限度に、子が母から贈与により取得したものとみなされ、その差額相当分は、贈与税の課税対象となる。2022.1-53-1
    子が親から著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合、原則として、その財産の譲渡時の時価と対価との差額は、子が親から贈与により取得したものとして、贈与税の課税対象となる。2015.1-53-2
  2. [不適切]。土地を無償で借り受けることを土地の使用貸借といいます。親子間で土地の使用貸借があった場合、その使用権の価額はゼロとされるため、贈与税の課税対象にはなりません。
    子が父の所有する土地を使用貸借によって借り受けて、その土地の上に賃貸アパートを建築した場合、父から子に土地の使用貸借に係る使用権の価額(借地権相当額)の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2020.1-51-2
    子が、父の所有する土地を使用貸借によって借り受けて、その土地の上に自己資金で建物を建築して自己の居住の用に供した場合には、子が父から借地権相当額を贈与により取得したものとして、贈与税の課税対象となる。2018.9-52-2
    子が、父の所有する土地を無償で借り受け、その土地の上に建物を建築した場合には、父から子へ借地権相当額の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2018.5-52-2
    父の所有する土地を子が無償で借り、その土地の上に建物を建築した場合には、父から子へ借地権の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2016.5-52-2
    子が、親の所有する土地を使用貸借契約によって借り受けて、その土地の上に子が自己資金で建物を建築して自己の居住の用に供した場合、子が親から借地権相当額を贈与により取得したものとして、贈与税の課税対象となる。2015.1-53-4
    子が親の所有する土地を使用貸借契約で借り受けてその土地の上に自己資金で建物を建築した場合、子が親から借地権の贈与を受けたものとして、贈与税の課税対象となる。2013.1-52-3
  3. 適切。離婚時の財産分与として取得した財産は、社会通念上相当な範囲内であれば贈与税はかかりませんが、課税逃れを目的として意図的に分与した財産はこの限りではなく、贈与税の課税対象となります。
    離婚が贈与税の課税を免れるために行われたと認められる場合には、離婚により取得した財産は贈与税の課税対象となる。2020.1-51-3
    贈与税の課税を免れるために、離婚を手段として財産分与により財産を取得したと認められる場合には、その取得した財産は贈与税の課税対象となる。2016.5-52-4
  4. 適切。親が所有する土地を無償で子に名義変更すると、親が子に土地を贈与したとして土地の時価相当額が贈与税の課税対象になります。
    父が所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合、その名義変更により取得した土地は、原則として、贈与税の課税対象とならない。2023.9-52-4
    父が所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合、その土地は、原則として、贈与税の課税対象とならない。2021.1-52-3
    父が所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合には、原則として、父から子に土地の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2020.1-51-1
    父が、その所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合には、その土地は、原則として、贈与税の課税対象とならない。2019.9-53-2
    父が、その所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合には、原則として、子が父からその土地を贈与により取得したものとして、贈与税の課税対象となる。2018.9-52-3
    父の名義である土地を対価の授受を行わずに子の名義に変更した場合には、原則として、父から子へ土地の贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2016.5-52-3
    親が、その所有する土地の名義を無償で子の名義に変更した場合、原則として、子が親からその土地を贈与により取得したものとして、贈与税の課税対象となる。2015.1-53-3
したがって不適切な記述は[2]です。