FP2級過去問題 2022年1月学科試験 問44(改題)
問44
民法および借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法第38条による定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、記載された特約以外のものについては考慮しないものとする。- 期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。
- 賃借人は、建物の引渡しを受けた後にこれに生じた損傷であっても、通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化によるものである場合、賃貸借が終了したときに、その損傷を原状に復する義務を負わない。
- 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。
- 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。
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正解 1
問題難易度
肢163.0%
肢28.9%
肢313.7%
肢414.4%
肢28.9%
肢313.7%
肢414.4%
分野
科目:E.不動産細目:2.不動産の取引
解説
- [不適切]。普通借家契約では、貸主都合による立退き請求から借主を守るため、賃貸人が契約更新を拒絶するときには正当事由が必要とされています。しかし、本肢は賃借人による更新拒絶なので正当事由は不要です。期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。(2022.9-44-2)期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなくとも、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができる。(2021.9-44-2)期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由があると認められるときでなければ、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができない。(2019.9-45-1)期間の定めがある普通借家契約において、賃借人が更新拒絶の通知をするためには、正当の事由が必要である。(2018.9-44-3)期間の定めがある普通借家契約における賃借人から更新しない旨の通知は、賃借人に正当の事由があると認められるときでなければ、することができない。(2018.5-45-1)期間の定めがある普通借家契約において賃借人が更新拒絶の通知をする場合、正当の事由があると認められるときでなければすることができない。(2017.1-45-3)
- 適切。賃借人は賃貸借契約の終了時に、賃借物を原状回復して返還する義務を負いますが、通常の使用収益に伴って生じた賃借物の損耗や経年変化については原状回復義務の対象外です。これら通常損耗は賃料に織り込み済であると解されているからです。賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。(2024.1-43-1)賃借人は、建物の引渡しを受けた後にこれに生じた損傷であっても、通常の使用および収益によって生じた建物の損耗および経年変化については、賃貸借終了時、原状に復する義務を負わない。(2021.5-43-3)
- 適切。定期借家契約を締結しようとする賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により契約が終了する旨を記載した書面を交付して(または書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して)説明しなければなりません。定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。(2024.1-43-3)賃貸人は、定期借家契約締結後、速やかに、建物の賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)しなければならない。(2023.1-45-3)賃貸人は、定期借家契約を締結する場合、あらかじめ、賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した公正証書を交付しなければならない。(2021.9-44-4)定期借家契約を締結するときは、建物の賃貸人は賃借人に対し、あらかじめ、契約の更新がなく期間満了により建物の賃貸借が終了することを、書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。(2015.1-44-4)定期借家契約を締結するときは、建物の賃貸人は賃借人に対し、あらかじめ、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することを、書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。(2014.1-46-4)
- 適切。定期借家契約では、借賃を増額しない旨の特約も減額をしない旨の特約も有効です。定期借家契約で借賃の改定に係る特約がある場合、借賃増減請求権の規定が適用除外となるためです。定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。(2024.1-43-4)定期借家契約において、その賃料が、近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借期間中は増減額させないこととする特約をした場合、その特約は有効である。(2022.9-44-4)定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。(2021.9-44-3)定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。(2020.9-45-4)
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