FP2級過去問題 2017年1月学科試験 問45(改題)

問45

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
  1. 普通借家契約を書面(電磁的記録による場合を含む)によって締結しない場合には、その契約は効力を有しない。
  2. 普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合であっても、その存続期間は1年とみなされる。
  3. 期間の定めがある普通借家契約において賃借人が更新拒絶の通知をする場合、正当の事由があると認められるときでなければすることができない。
  4. 普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。

正解 4

問題難易度
肢19.1%
肢211.2%
肢319.2%
肢460.5%

解説

  1. 不適切。普通借家契約では、契約方法の形式について特に定めがないので、書面によらない契約でも有効となります。書面または電磁的記録で契約しなければならないのは定期借家契約です。
    定期借家契約は、書面(電磁的記録による場合を含む)によらなくても成立する。2014.5-43-1
  2. 不適切。普通借家契約の存続期間は、1年以上(上限なし)です。1年未満の存続期間の定めは無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。よって、存続期間10か月の場合、期間の定めがないものとされます。
    普通借家契約において、存続期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2024.5-44-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2023.9-45-1
    普通借家契約において、存続期間を3ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2023.1-45-1
    普通借家契約において存続期間を1年未満に定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2022.9-44-1
    普通借家契約において、存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2021.9-44-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2021.1-44-1
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めのない建物の賃貸借とみなされる。2018.9-44-2
    普通借家契約では、賃貸人と賃借人の合意により、賃貸借期間を1年未満とした場合でも、賃貸借期間は1年とみなされる。2016.9-44-1
    定期借家契約では、1年未満の賃貸借期間を定めることができる。2014.5-43-4
    定期借家契約においては、建物賃貸借の期間を1年未満と定めた場合でも、期間の定めのない建物の賃貸借とみなされることはない。2013.9-44-4
    賃貸借期間を1年未満とする普通借家契約は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2013.1-44-2
  3. 不適切。普通借家契約では、貸主都合による立退き請求から借主を守るため、賃人が契約更新を拒絶するときには正当事由が必要とされています。しかし、本肢は賃人による更新拒絶なので正当事由は不要です。
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。2022.9-44-2
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。2022.1-44-1
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなくとも、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができる。2021.9-44-2
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由があると認められるときでなければ、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができない。2019.9-45-1
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人が更新拒絶の通知をするためには、正当の事由が必要である。2018.9-44-3
    期間の定めがある普通借家契約における賃借人から更新しない旨の通知は、賃借人に正当の事由があると認められるときでなければ、することができない。2018.5-45-1
  4. [適切]。建物の賃貸借では、建物の引渡しを受けることが第三者対抗要件となっています。よって、賃借権の登記をしていなくても鍵を受け取る等の引渡し後であれば、建物の新所有者に対して賃借権を対抗することができます。
    定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。2023.1-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、原則として、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.5-43-2
    賃借人は、原則として、建物の賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の物権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2021.3-44-4
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.1-44-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後、その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2019.9-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。2018.5-45-2
    定期借家契約において、建物賃借人は、その建物について賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2016.5-44-4
    普通借家契約では、賃借権の登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後にその建物の所有権を取得した者に対して、賃借人は、建物の賃借権を対抗することができる。2016.1-44-3
    普通借家契約において、賃借人は建物に賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の所有権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2015.9-44-4
したがって適切な記述は[4]です。