FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問45(改題)

問45

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
  1. 普通借家契約において、存続期間を3ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
  2. 定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。
  3. 賃貸人は、定期借家契約締結後、速やかに、建物の賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)しなければならない。
  4. 定期借家契約は、公正証書以外の書面でも締結することができる。

正解 3

問題難易度
肢114.4%
肢218.1%
肢347.3%
肢420.2%

解説

  1. 適切。普通借家契約の存続期間は、1年以上(上限なし)です。1年未満の存続期間の定めは無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。よって、存続期間3か月とした場合、期間の定めがないものとされます。
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2023.9-45-1
    普通借家契約において存続期間を1年未満に定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2022.9-44-1
    普通借家契約において、存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2021.9-44-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2021.1-44-1
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めのない建物の賃貸借とみなされる。2018.9-44-2
    普通借家契約では、賃貸人および賃借人の合意により存続期間を6ヵ月と定めた場合であっても、その存続する期間は1年とみなされる。2018.1-45-1
    普通借家契約において、賃貸人および賃借人の合意により存続期間を6ヵ月と定めた場合であっても、その存続する期間は1年とみなされる。2017.5-45-1
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合であっても、その存続期間は1年とみなされる。2017.1-45-2
  2. 適切。建物の賃貸借では、建物の引渡しを受けることが第三者への対抗要件となっています。よって、賃借権の登記をしていなくても鍵を受け取る等の引渡し後であれば、建物の新所有者に対して賃借権を対抗することができます。
    普通借家契約において、賃借人は、原則として、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.5-43-2
    賃借人は、原則として、建物の賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の物権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2021.3-44-4
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.1-44-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後、その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2019.9-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。2018.5-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2017.1-45-4
    定期借家契約において、建物賃借人は、その建物について賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2016.5-44-4
    普通借家契約では、賃借権の登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後にその建物の所有権を取得した者に対して、賃借人は、建物の賃借権を対抗することができる。2016.1-44-3
    普通借家契約において、賃借人は建物に賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の所有権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2015.9-44-4
  3. [不適切]。定期借家契約を締結しようとする賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により契約が終了する旨を記載した書面を交付して(または書面に記載する事項を電磁的方法により提供して)説明しなければなりません。本肢は「契約締結後」としているので誤りです。
    定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。2024.1-43-3
    定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。2022.1-44-3
    賃貸人は、定期借家契約を締結する場合、あらかじめ、賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した公正証書を交付しなければならない。2021.9-44-4
    定期借家契約を締結するときは、建物の賃貸人は賃借人に対し、あらかじめ、契約の更新がなく期間満了により建物の賃貸借が終了することを、書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。2015.1-44-4
    定期借家契約を締結するときは、建物の賃貸人は賃借人に対し、あらかじめ、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することを、書面を交付(電磁的方法により提供する場合を含む)して説明しなければならない。2014.1-46-4
  4. 適切。定期借家契約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。公正証書は例示にすぎないので、公正証書以外の書面であっても有効に締結することができます。借地借家法の契約のうち、契約方法が公正証書に限定されるのは事業用定期借地権等だけです。
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2022.9-44-3
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2020.9-45-2
    定期借家契約は、公正証書以外の書面によっても、締結することができる。2019.9-45-3
したがって不適切な記述は[3]です。