FP2級過去問題 2019年1月学科試験 問23

問23

固定利付債券(個人向け国債を除く)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 国内景気が好況で国内物価が継続的に上昇傾向にある局面では、債券価格は上昇する傾向がある。
  2. 市場金利の上昇は債券価格の上昇要因となり、市場金利の低下は債券価格の下落要因となる。
  3. 債券の発行体の財務状況の悪化や経営不振などにより、償還や利払い等が履行されない可能性が高まると、当該債券の市場価格は下落する傾向がある。
  4. 債券を償還日の直前に売却した場合には、売却価格が額面価格を下回ることはない。

正解 3

問題難易度
肢18.4%
肢210.1%
肢375.8%
肢45.7%

解説

  1. 不適切。国内景気が好況になり物やサービスへの需要が高まると、金融機関から資金を借りようとする人が増えるため市場金利が上昇します。市場金利と債券価格は逆の値動きをするので、市場金利の上昇は債券価格の下落要因になります。

    この関係を説明するために以下の2つの商品の例を挙げます。
    1. 5年前に発行された国債(満期まで残り5年,額面100円,利率1%)
    2. 本日発行の国債(満期5年,額面100円,利率2%)
    残存年数はどちらも5年ですが利率が異なります。当然のことですが購入する側は利率の高いBの方を購入し、Aが売れることはありません。本日発行の国債は100円で販売されることが決まっているため、流通市場におけるAの価格はBを基準として同じ価値になるように市場原理によって調整されます。このケースでは相対的に価値の低いAの販売価格が下落していきます。市場金利と債券価格の相関関係は、このような理屈により生じています。
  2. 不適切。債券価格は、市場金利とは逆の動きをします。すなわち金利が上昇すれば債券価格は下落し、金利が低下すれば債券価格は上昇します。
  3. [適切]。債券の発行体の財務状況などによって、利払いや償還が不履行されない可能性(信用リスク)が高まると、債券価格は下落します。
  4. 不適切。債券の価格は、金利動向などにより常に変動しているため、償還日直前の売却であっても額面価格を下回ることもあります。
したがって適切な記述は[3]です。