FP2級過去問題 2021年1月学科試験 問31

問31

所得税の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 所得税の納税義務者は、日本国籍を有する個人および国内に本社・本店を有する法人のみである。
  2. 所得税は、納税者に住所地のほか、居所や事業所がある場合には、税務署長に届出書を提出することなく、その居所や事業所の所在地を納税地とすることができる。
  3. 各種所得の金額の計算上、収入金額には、原則として、その年において収入すべき金額である未収の収入も計上しなければならない。
  4. 所得税は、納税者が申告をした後に、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。

正解 3

問題難易度
肢17.8%
肢215.5%
肢362.6%
肢414.1%

解説

  1. 不適切。所得税法では、所得税の納税義務者を①居住者、②非居住者、③内国法人、④外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。日本国籍を有していない個人、外国法人にも納税義務があります。
    ※所得税は原則として個人の所得に課される税ですが、例外的に法人も課税対象になることがあります。例えば、法人の普通口座の利息は個人と同じく源泉徴収後の金額が振り込まれますが、このとき法人は所得税を支払っています。
  2. 不適切。所得税の原則的納税地は住所地ですが、居所・事業所等を有する場合はそれらの所在地とすることもできます。この特例の適用を受けようとする納税者は、現在の納税地の所轄税務署長に対して、所得税の納税地の変更に関する届出をしなければなりません。
  3. [適切]。その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、年末までに「収入すべき権利の確定した金額」になります。したがって、現実に金銭等を受領していない、また、代金を請求していない未収の金額も計上しなければなりません。例えば、その年の12月20日に商品を売って、その代金は年を越して翌年1月10日に受け取ったような場合には、商品を売ったその年の収入になるということです。
    各種所得の金額の計算上、収入金額には、原則として、その年において収入すべきことが確定した金額のうち、未収入の金額を控除した額を計上する。2023.1-31-3
  4. 不適切。賦課課税方式ではありません。所得税は、納税者自らが1年間の所得金額とそれに応じた税額を計算し、申告を行うことで税額が確定する申告納税方式を基本としています。会社員の場合は、源泉徴収制度を通じて会社が納税者の代わりに申告と納税をしていることになります。
    賦課課税方式とは、国や地方公共団体が税額を計算して納税者に通知する方式で、不動産取得税、固定資産税、自動車税、個人住民税などで採用されています。
    所得税では、納税者が申告した所得金額に基づき、納付すべき税額を税務署長が決定する賦課課税方式が採用されている。2024.1-31-1
    所得税は、納税者が申告をした後に、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2023.1-31-4
    所得税は、納税者が申告をした後に、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2020.1-31-1
    所得税は、納税者が申告をした後に、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2018.5-31-3
    所得税は、納税者の申告により、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2017.9-31-3
    所得税は、納税者の申告に基づき、課税庁が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2017.1-31-3
    所得税は、納税者の申告により、税務署(長)が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。2013.1-31-4
したがって適切な記述は[3]です。