FP2級過去問題 2015年9月学科試験 問39

問39

法人税における損金の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 法人が、減価償却費として損金経理した金額のうち償却限度額を超える部分の金額については、その全額を損金の額に算入することができる。
  2. 法人が、その負担すべき固定資産税および都市計画税を損金経理した場合、その全額を損金の額に算入することができる。
  3. 法人が、役員に対して定期同額給与(不相当に高額な部分の金額など一定のものを除く)を支給した場合、その全額を損金の額に算入することができる。
  4. 法人が、退職した役員に対して役員退職金(不相当に高額な部分の金額を除く)を支給した場合、その支払った金額を支払った事業年度に損金の額に算入することができる。

正解 1

問題難易度
肢163.9%
肢214.1%
肢311.5%
肢410.5%

解説

  1. [不適切]。企業会計上は、費用収益対応の原則に従って法人ごとにどのような方法で減価償却を行っても自由ですが、税法上の損金や経費にできるのは、法人が減価償却費として計上した額のうち法定の償却限度額までの金額に限られます。償却限度額を超える部分の金額は損金不算入となります。
    法人が減価償却資産として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額は、その全額を損金の額に算入することができる。2023.9-37-2
    法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額は、その事業年度の損金の額に算入することができる。2022.9-37-3
    法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額は、その全額を損金の額に算入することができる。2022.5-37-4
    法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額を超える部分の金額は、その事業年度の損金の額に算入することができる。2020.1-37-4
  2. 適切。租税公課のうち、固定資産税・都市計画税・事業税・印紙税などは法人の活動上必要な支出としてその全額を損金の額に算入することができます。なお、法人税・法人住民税は損金算入することはできません。
    法人が、その負担すべき固定資産税および都市計画税を納付した場合、その全額を損金の額に算入することができる。2015.5-39-4
    法人が、その負担すべき固定資産税および都市計画税を納付した場合、その全額が損金の額に算入される。2013.5-39-3
  3. 適切。定期同額給与とは、支給時期が1ヶ月以内の一定期間ごとであり支給額が同額である給与のことをいいます。法人が役員に対して支給する定期同額給与は、その全額を損金の額に算入することができます。ただし、不相当に高額な部分の金額は損金に算入することができません。
    法人が役員に対して定期同額給与を支給した場合、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その全額を損金の額に算入することができる。2022.5-37-3
    役員に対して支給する定期同額給与であっても、不相当に高額な部分に該当する金額は、損金の額に算入することはできない。2013.9-39-2
  4. 適切。役員退職金は、その金額を支払った事業年度に損金算入することができます。ただし、不相当に高額な部分の金額は損金に算入することができません。
したがって不適切な記述は[1]です。