FP2級過去問題 2017年1月学科試験 問39

問39

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 会社が所有する土地を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその役員への給与として取り扱われる。
  2. 会社が所有する土地を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその会社の受贈益として取り扱われる。
  3. 役員が所有する土地を会社に譲渡した場合において、その譲渡価額が適正な時価の2分の1以上で時価未満であるときは、原則として、実際の譲渡価額により譲渡所得の金額が計算される。
  4. 会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、役員に課税されることはない。

正解 4

問題難易度
肢16.1%
肢29.2%
肢328.3%
肢456.4%

解説

  1. 適切。法人所有の資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、適正な時価との差額が役員給与(給与所得)とされます。当該役員には給与所得として所得税・住民税が課税されます。
    役員が会社の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で譲り受けた場合、適正な時価と譲受価額との差額相当額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。2024.9-39-1
    会社が役員の所有する土地を時価未満の価額で譲り受けた場合、時価と譲受対価の差額相当額は、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2022.9-39-2
    役員が所有する土地を時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、時価の2分の1に相当する金額が役員の譲渡所得の収入金額に算入される。2022.1-39-4
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2021.5-40-3
    会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員給与とされる。2021.3-40-1
    会社が所有する土地を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員の給与所得の収入金額に算入される。2021.1-39-2
    会社が所有する資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が、その役員の給与所得の収入金額となる。2020.9-39-2
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合には、その適正な時価と実際に支払った対価との差額が、その会社の所得金額の計算上益金の額に算入される。2019.1-40-4
    会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員給与とされる。2018.1-39-1
    役員が会社の所有する建物を適正な時価よりも低い価格で譲り受けた場合、その適正な時価と譲渡価格との差額は、役員の給与として取り扱われる。2017.9-39-4
    会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額は、その役員への給与所得として取り扱われる。2017.5-40-3
  2. 適切。法人所有の資産を役員に対して時価よりも高額で譲渡した場合、法人側は時価で役員に譲渡したものとされ、時価との差額を受贈益として益金算入します。
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で譲り受けた場合、適正な時価と譲受価額との差額相当額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2024.9-39-3
    役員が所有する土地を無償で会社に譲渡した場合、その適正な時価の2分の1相当額が会社の受贈益として益金の額に算入される。2021.1-39-1
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価格で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額は、その会社の受贈益になる。2017.9-39-3
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額は、その会社の受贈益になる。2017.5-40-2
  3. 適切。役員側では、譲渡価額が時価の2分の1以上の額のときは、実際の譲渡価額で譲渡したものとして譲渡所得を計算します。逆に2分の1未満であるときは時価が譲渡収入となります。
    役員が所有する土地を会社に譲渡した場合、その譲渡価額が適正な時価の2分の1未満であるときは、適正な時価により譲渡所得の金額が計算される。2022.5-39-1
    役員が所有する土地を無償で会社に譲渡した場合、会社は適正な時価の2分の1相当額を受贈益として益金の額に算入する。2018.9-39-1
    役員が所有する土地を会社に無償で譲渡した場合には、役員は時価で譲渡したものとして譲渡所得を計算する。2018.5-39-3
    役員が個人で所有する土地を会社に譲渡した場合に、その譲渡対価が適正な時価の2分の1未満であったときは、適正な時価相当額で譲渡したものとされる。2016.9-39-3
  4. [不適切]。会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合は、役員は利息なしで借入できたことになってしまうので、本来の利息相当額が給与所得として課税されます。逆に、役員が会社に無利息で貸し付けた場合には課税関係は生じません。
したがって不適切な記述は[4]です。