FP2級過去問題 2018年9月学科試験 問39

問39

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 役員が所有する土地を無償で会社に譲渡した場合、会社は適正な時価の2分の1相当額を受贈益として益金の額に算入する。
  2. 役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は原則として実際に譲渡した価額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行う。
  3. 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、通常の賃貸料相当額が役員給与とされる。
  4. 役員が会社へ無利息で金銭の貸付けを行った場合の利息相当額について、役員には原則として課税されない。

正解 1

問題難易度
肢153.6%
肢221.7%
肢38.0%
肢416.7%

解説

  1. [不適切]。役員が所有する資産を法人へ低額譲渡した場合、法人側は時価で取得したものとされ、対価と時価の差額を受贈益として益金算入します。無償譲渡だと対価は0円なので、時価をそのまま受贈益として益金算入することになります。
  2. 適切。役員所有の資産を法人へ低額譲渡した場合、時価の2分の1未満の場合は時価で、時価の2分の1以上の場合は譲渡価格で譲渡したものとして、役員の譲渡所得になります。
  3. 適切。会社の所有する社宅に役員が無償で居住している場合は、法人が役員に対して経済的利益を与えたものと判断されます。このため、役員は賃料相当額の役員給与を受けたものとして扱われます。
  4. 適切。役員から法人へ無利息での金銭貸付けが行われた場合、法人・役員ともに課税関係は生じません。役員から会社への貸付は、資金繰りなど営利目的以外で行われることが多いからです。会社側は「役員借入金」勘定として負債計上します。
したがって不適切な記述は[1]です。