FP2級過去問題 2019年9月学科試験 問51(改題)

問51

贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 書面によらない贈与契約においては、その履行がなされた部分についても、各当事者はいつでも撤回することができる。
  2. 負担付贈与ではない贈与契約の贈与者は、贈与財産に契約内容に適合しない事実があることを知らないで贈与した場合であっても、その契約不適合について担保責任を負う。
  3. 死因贈与契約は、贈与者の一方的な意思表示により成立する。
  4. 負担付贈与契約の受贈者がその負担である義務を履行しない場合、贈与者は、相当の期間を定めてその履行の催告をしてもその期間内に履行がないときは、その贈与契約の解除をすることができる。

正解 4

問題難易度
肢110.6%
肢29.3%
肢38.6%
肢471.5%

解説

  1. 不適切。口頭での約束などのように書面によらない贈与契約の場合、その履行が終わっていない部分に限り、当事者双方から撤回することができます。本肢のように「履行がなされた部分」については撤回できません。
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    書面によらない贈与は、その履行の終わった部分を除き、各当事者が解除をすることができる。2024.1-51-4
    書面によらない贈与は、その履行の終わった部分についても、各当事者が解除をすることができる。2023.9-51-1
    書面によらない贈与は、その履行の終わった部分についても、各当事者が解除をすることができる。2023.1-51-1
    民法上、書面によらない贈与は、いまだその履行がなされていない場合であっても、各当事者がこれを解除することはできない。2022.9-51-2
    書面によらない贈与では、その履行前であれば、各当事者は合意がなくとも契約の解除をすることができる。2022.5-51-4
    書面によらない贈与は、その履行の終わった部分についても、各当事者が解除をすることができる。2022.1-51-1
    書面によらない贈与においては、その履行がなされていない場合であっても、各当事者は契約の解除をすることができない。2021.9-51-1
    民法上、書面によらない贈与において、いまだその履行がなされていない場合であっても、各当事者が一方的にこれを解除することはできない。2021.1-51-2
    書面によってなされた贈与契約において、いまだその履行がなされていない場合には、各当事者がこれを撤回することができる。2019.1-51-2
    書面によってなされた贈与契約において、いまだその履行がなされていない場合には、各当事者がこれを撤回することができる。2018.5-51-1
    書面によらない贈与契約は、すでに履行が終わった部分を除き、贈与者または受贈者のどちらからでも撤回することができる。2015.10-51-1
  2. 不適切。贈与契約では、贈与の目的物が特定したときの(契約時の)状態で引き渡すことを約束したとみなされます。契約時の現状引渡しで足りるのですから、原則として贈与契約では知る・知らないにかかわらず担保責任を負いません。一方、負担付贈与は双務契約として扱われるので、契約内容に適合しない事実があった場合には原則として担保責任を負います。
    贈与契約(負担付贈与ではない)の贈与者は、贈与財産に契約内容に適合しない事実があることを知らないで贈与した場合、その契約不適合について担保責任を負わない。2019.1-51-3
    負担付贈与ではない贈与契約の贈与者は、贈与財産に契約内容に適合しない事実があることを知らないで贈与した場合であっても、その契約不適合について担保責任を負う。2017.5-51-1
    贈与者が贈与の目的物に契約内容に適合しない事実があることを知らずに贈与した場合であっても、贈与者はその契約不適合について責任を負わなければならない。2015.1-51-4
  3. 不適切。贈与契約は、一方が自己の財産を与える意思を示し、相手方がそれを承諾することによって成立します。死因贈与契約も贈与契約の1つですから受贈者の承諾が必要です。
    死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与をいい、贈与者のみの意思表示により成立する。2023.9-51-3
    死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与をいう。2019.5-51-4
    死因贈与契約は、贈与者の一方的な意思表示により成立する。2016.1-51-2
    死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与をいう。2015.1-51-3
    死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与のことをいう。2013.9-51-1
  4. [適切]。負担付贈与には双務取引に関する規定が準用されるので、受贈者が債務を履行しない場合に、贈与者が期間を定めてその履行の催告をしたにもかかわらず期間内に履行がないときは、贈与者は負担付贈与契約を解除することができます。
    負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない場合、原則として、贈与者は、当該贈与の契約の解除をすることができる。2023.1-51-3
    負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない場合であっても、贈与者は、当該贈与の契約の解除をすることができない。2022.5-51-2
    負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、贈与者は、原則として、当該贈与の契約の解除をすることができる。2021.9-51-3
    負担付贈与契約の受贈者がその負担である義務を履行しない場合、贈与者は、相当の期間を定めてその履行の催告をしても履行がないときは、その贈与契約の解除をすることができる。2018.5-51-4
    負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、贈与者は、当該贈与の契約の解除をすることができる。2016.9-51-4
    負担付贈与契約は、受贈者が負担を履行しない場合、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がなければ、贈与者は当該契約を解除することができる。2015.10-51-2
    負担付贈与においては、受贈者が負担すべき債務を履行しない場合、贈与者はその贈与契約を解除することができる。2015.5-51-3
したがって適切な記述は[4]です。