FP2級過去問題 2024年5月学科試験 問37

問37

法人税の損金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 法人が役員に支給する定期同額給与の額を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書を、あらかじめ納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  2. 法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税の額は、損金の額に算入することができない。
  3. 法人が納付した法人事業税の本税の額は、原則として、その法人事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
  4. 法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、原則として、その全額を損金の額に算入することができる。

正解 1

問題難易度
肢146.9%
肢216.0%
肢322.2%
肢414.9%

解説

  1. [不適切]。法人税法上、役員給与として損金の額に算入できるのは、以下の3つのいずれかに該当するものだけです。3つのうち、あらかじめ税務署長へ届出が必要なのは事前確定届出給与のみで、定期同額給与は事前届出の必要はありません。
    定期同額給与
    1カ月以下の一定期間ごとに同額を支給する給与
    事前確定届出給与
    事前に税務署長へ届出をして、所定の時期に確定した金額を支給する給与
    業績連動給与
    会社の利益や株式の市場価格などを指標として算定して支給される金銭等の給与
    法人が役員に支給した定期同額給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容をあらかじめ税務署長に届け出なければならない。2023.1-37-3
    役員退職給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書をあらかじめ税務署長に提出しなければならない。2022.1-37-1
    役員退職給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容をあらかじめ税務署長に届け出なければならない。2018.9-37-1
  2. 適切。法人税の本税および法人住民税は、所得(益金と損金の差額)に対して課されるものなので、所得を計算する際の損金にはなりません。
    法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税は、その全額を損金の額に算入することができる。2024.9-37-4
    法人が納付した法人税の本税の額は、損金の額に算入することができない。2023.5-37-1
    法人が納付した法人住民税の本税の額は、損金の額に算入することができる。2023.5-37-2
    法人が納付した法人事業税の本税の額は、損金の額に算入することができる。2023.5-37-3
    法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税は、その全額を損金の額に算入することができる。2022.9-37-2
    法人が法人税および法人住民税を納付した場合、その全額を損金の額に算入することができる。2022.5-37-1
    法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税は、その全額を損金の額に算入することができる。2020.1-37-1
  3. 適切。法人事業税は、事業で公共サービスや公共施設を利用していることに対する課税なので、事業の必要経費と認められ、全額を申告書を提出した事業年度の損金の額に算入することができます。
    損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。2023.9-37-3
    損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。2023.1-37-4
    損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。2022.1-37-4
    損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則としてその事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。2018.9-37-4
    損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則としてその事業税に係る納税申告書を提出した事業年度の損金の額に算入することができる。2017.9-37-4
  4. 適切。法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、所定の書類を添付し確定申告することで、その全額を損金算入することができます。
    法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、原則として、その全額を損金の額に算入することができる。2023.9-37-4
    法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、確定申告書に当該寄附金の明細を記載した書類を添付することで、その全額を損金の額に算入することができる。2023.1-37-1
    法人が国または地方公共団体に支払った一定の寄附金(確定申告書に明細を記載した書類の添付あり)は、その全額を損金の額に算入することができる。2020.1-37-2
    国または地方公共団体に対して支払った寄附金の額(確定申告書に明細を記載した書類を添付している)は、損金の額に算入することができる。2018.9-37-2
    法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、原則として、その事業年度において全額を損金の額に算入される。2013.1-39-3
したがって不適切な記述は[1]です。