損益通算(全36問中4問目)

No.4

所得税の損益通算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年9月試験 問33
  1. 終身保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができる。
  2. 先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、上場株式等に係る譲渡所得の金額と損益通算することができる。
  3. 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。
  4. 業務用車両を売却したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。

正解 4

問題難易度
肢16.5%
肢26.2%
肢318.0%
肢469.3%

解説

  1. 不適切。一時所得の損失は、他の所得と損益通算することができません。一時所得の金額がマイナスになった場合はなかったもの(0円)として扱います。
    生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。2024.1-33-4
    生命保険を解約して解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。2023.5-33-3
    生命保険を解約して解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、公的年金に係る雑所得の金額と損益通算することができる。2022.1-33-3
    終身保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができない。2020.9-33-2
    養老保険の満期保険金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができる。2014.1-32-1
    生命保険の解約返戻金の受取りによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2013.5-34-4
  2. 不適切。先物取引の差金等決済をしたことによる所得は、取引の種類や事業性の有無によって事業所得・譲渡所得・雑所得に分かれますが、これらを合算して計20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の申告分離課税とされています。これら3つの先物取引の所得の中での内部通算が認められていますが、内部通算後に生じた損失はなかったものとされるので、他の所得の金額と損益通算することはできません。本肢は、雑所得の損失なので当然に損益通算の対象外とわかりますが、これが事業所得や譲渡所得の損失であっても同様です。
    【参考】内部通算後に生じた先物取引の差金等決済の損失は、翌年以降3年間繰り越して、先物取引の差金等決済の所得から控除することができます。
    先物取引 … 商品先物取引等、金融商品先物取引等、カバードワラントの取得
    先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。2024.1-33-1
    先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。2023.5-33-2
    農業に係る事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。2023.5-33-4
    公的年金等以外の雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。2021.5-32-1
    一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができる。2021.5-32-4
    別荘を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2020.9-33-4
    生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができない。2020.1-33-4
    一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2017.5-33-2
    別荘を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2014.9-33-1
    原稿料を受け取ったことによる雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができる。2014.1-32-3
    食品小売業による事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができる。2013.5-34-3
  3. 不適切。不動産所得の損失のうち、土地等の取得に要した借入金の利子の部分は、他の各種所得の金額と損益通算することができません。
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。2024.1-33-3
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額は、給与所得の金額と損益通算できる。2023.5-33-1
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、その不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、事業所得の金額と損益通算することができない。2020.1-33-3
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、その不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2015.9-33-4
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、その不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2014.9-33-4
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、建物の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2014.1-32-4
    不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、その不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、他の所得の金額と損益通算することができない。2013.9-34-3
    賃貸アパート経営による不動産所得の損失の金額のうち、その賃貸アパートの土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2013.5-34-1
  4. [適切]。他の所得との損益通算が可能なのは、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つの所得で生じた損失です。業務用車両の売却による譲渡所得は総合課税の対象ですので、その譲渡損失の金額は損益通算の対象となります。したがって、事業所得などの総合課税の各種所得と損益通算することができます。
    業務用車両を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。2024.1-33-2
    ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2021.3-34-1
    賃貸アパートの土地と建物を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2021.3-34-4
    業務用車両を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と損益通算することができない。2020.1-33-2
    ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2017.5-33-3
    ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2016.1-34-2
    ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2015.9-33-2
    賃貸アパートの土地と建物を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2015.9-33-3
    居住の用に供したことがない土地や建物を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。2014.1-32-2
    業務用車両の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算することができる。2013.9-34-4
したがって適切な記述は[4]です。