FP2級過去問題 2013年1月学科試験 問44(改題)

問44

借地借家法の建物の賃貸借に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約、それ以外を普通借家契約という。
  1. 賃貸人からの普通借家契約の更新拒絶は、正当の事由がある場合でなければすることができない。
  2. 賃貸借期間を1年未満とする普通借家契約は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
  3. 定期借家契約は、あらかじめ当事者である賃貸人と賃借人が期間満了後に契約を更新する旨の合意をしていた場合、その契約を更新することができる契約である。
  4. 定期借家契約を締結する場合は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。

正解 3

問題難易度
肢115.3%
肢210.2%
肢352.1%
肢422.4%

解説

  1. 適切。普通借家契約では、貸主都合による立退き請求から借主を守るため、賃人が契約更新を拒絶するときには正当事由が必要とされています。
    賃借人が普通借家契約を更新しない旨の通知を賃貸人に行う場合には、正当の事由を必要とする。2016.5-44-2
    普通借家契約を更新しない旨の通知は、賃貸人または賃借人のいずれが行う場合であっても、正当の事由が必要である。2015.1-44-2
  2. 適切。普通借家契約で1年未満の期間を定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます。一方、定期借家契約は存続期間の制限はないので、1年未満の存続期間も有効に定めることができます。
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない建物賃貸借契約とみなされる。2021.3-44-2
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を6ヵ月として普通借家契約を締結した場合、当該契約の賃貸借期間は1年とみなされる。2016.1-44-1
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない借家契約とみなされる。2014.9-44-1
  3. [不適切]。定期借家契約は、更新がないタイプの借家契約なので、存続期間が満了するとそのまま終了します。期間満了後も住み続けたい場合は、当事者同士の合意により再契約をする必要があります。
    定期借家契約は、賃貸借期間が満了しても、賃借人が正当事由をもって契約の更新を請求すれば、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなされる。2014.5-43-3
    定期借家契約の期間満了に当たり、賃借人が契約の更新を請求した場合、賃貸人に更新拒絶について正当事由がないときは、当該契約は更新されたものとみなされる。2013.9-44-3
  4. 適切。定期借家契約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。公正証書は例示にすぎないので、公正証書以外の書面であっても有効に締結することができます。借地借家法の契約のうち、契約方法が公正証書に限定されるのは事業用定期借地権等だけです。
    一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2023.9-44-4
    普通借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.9-43-1
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.1-43-3
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2020.1-43-4
    一般定期借地権においては、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、買取りの請求をしないこととする旨を定めることができるが、その特約は公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2018.1-44-4
    一般定期借地権において、契約の更新がないこととする旨の特約等は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。2015.9-43-3
    定期借家契約は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によって締結しなければならない。2015.1-44-3
    定期借家契約は、書面(電磁的記録による場合を含む)によらなくても成立する。2014.5-43-1
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権において、契約の更新がない等の特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。2013.5-43-4
したがって不適切な記述は[3]です。
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