FP2級過去問題 2025年1月学科試験 問45

問45

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、特約については考慮しないものとする。
  1. 定期借家契約は、公正証書によってしなければならない。
  2. 定期借家契約は、契約当事者間の合意があっても、存続期間を1年未満とすることはできない。
  3. 普通借家契約において、賃貸人は、賃貸人および賃借人が建物の使用を必要とする事情や建物の利用状況などを考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、賃借人に対し、建物の賃貸借の解約の申入れをすることはできない。
  4. 普通借家契約において、賃貸人が賃借人に対して期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同じ期間で契約を更新したものとみなされる。

正解 3

問題難易度
肢17.9%
肢29.1%
肢356.2%
肢426.8%

解説

  1. 不適切。定期借家契約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。公正証書は例示にすぎないので、公正証書以外の書面であっても有効に締結することができます。借地借家法の契約のうち、契約方法が公正証書に限定されるのは事業用定期借地権等だけです。
    もっぱら事業の用に供する建物について定期借家契約を締結する場合、その契約は公正証書によってしなければならない。2023.9-45-3
    定期借家契約は、公正証書以外の書面でも締結することができる。2023.1-45-4
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2022.9-44-3
    定期借家契約は、公正証書によって締結しなければならない。2021.1-44-4
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2020.9-45-2
    定期借家契約は、公正証書以外の書面によっても、締結することができる。2019.9-45-3
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。2019.5-44-4
    定期借家契約は、公正証書によって締結しなければならない。2018.9-44-1
    定期借家契約は、公正証書によって締結しなければ無効となる。2016.1-44-2
    定期借家契約は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によって締結しなければならない。2015.1-44-3
    定期借家契約では、1年未満の賃貸借期間を定めることができる。2014.5-43-4
    定期借家契約は、公正証書により契約を締結しなければならない。2014.1-46-1
    定期借家契約を締結する場合は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2013.1-44-4
  2. 不適切。定期借家契約では、存続期間の上限も下限もありません。よって、存続期間1年未満の契約も有効にすることができます。マンスリー・アパートやウィークリー・アパートなどが定期借家契約の活用例です。
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2023.9-45-1
    定期借家契約は、契約当事者間の合意があっても、存続期間を3ヵ月未満とすることはできない。2023.9-45-4
    普通借家契約において存続期間を1年未満に定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2022.9-44-1
    普通借家契約において、賃貸借の存続期間は50年を超えてはならない。2021.5-43-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2021.1-44-1
    定期借家契約は、契約当事者の合意があっても、存続期間を6ヵ月未満とすることはできない。2021.1-44-3
    定期借家契約は、契約当事者の合意があっても、存続期間を6ヵ月未満とすることはできない。2020.9-45-1
    定期借家契約は、契約当事者の合意があっても、存続期間を6ヵ月未満とすることはできない。2018.9-44-4
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合であっても、その存続期間は1年とみなされる。2017.1-45-2
  3. [適切]。期間の定めのない普通借家契約では、貸主・借主の双方からいつでも解約の申入れをすることができます。貸主から解約申入れをする場合には正当事由が必要で、申入れから6か月後に終了します。他方、借主からの申入れの場合には正当事由は不要で申入れから3か月後に終了するという違いがあります。
    5/203.png/image-size:439×113
    普通借家契約において、建物の賃貸人による建物の賃貸借の解約の申入れは、賃貸人および賃借人が建物の使用を必要とする事情や建物の利用状況などを考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければすることができない。2024.5-44-2
    期間の定めのない普通借家契約において、建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをし、正当の事由があると認められる場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。2023.9-45-2
  4. 不適切。期間の定めのある普通借家契約では、期間満了の1年前から6カ月前までの間に当事者が相手方に対して更新しない旨を通知しなかったときは、従前の契約と同じ条件で契約を更新したものとみなされます(法定更新)。ただし、法定更新後の存続期間については、従前と同じではなく「定めがないもの」とされます。
    普通借家契約では、賃貸人および賃借人の合意により存続期間を6ヵ月と定めた場合であっても、その存続する期間は1年とみなされる。2018.1-45-1
    普通借家契約において、賃貸人および賃借人の合意により存続期間を6ヵ月と定めた場合であっても、その存続する期間は1年とみなされる。2017.5-45-1
    定期借家契約は、賃貸借期間が満了しても、賃借人が正当事由をもって契約の更新を請求すれば、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなされる。2014.5-43-3
したがって適切な記述は[3]です。