FP2級過去問題 2019年5月学科試験 問44

問44

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
  1. 普通借地権の存続期間は50年とされているが、当事者が契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
  2. 普通借地権の当初の存続期間が満了する場合において、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、借地上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。
  3. 事業用定期借地権等においては、一部を居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、その存続期間を10年以上30年未満として設定することができる。
  4. 事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

正解 4

問題難易度
肢19.7%
肢25.9%
肢311.7%
肢472.7%

解説

  1. 不適切。借地借家法では、普通借地権の存続期間を30年以上と定めています。30年より長い期間を定めた場合にはその期間となります。
    普通借地権の存続期間は20年とされているが、当事者が契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。2020.1-43-1
  2. 不適切。普通借地権の存続期間満了時に借地権者(借主)側から契約更新の請求があった場合、借地上に建物がある場合に限り、従前の契約と同じ条件で更新したとみなされます。借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権を対象としているため、建物が存在しない土地については保護対象に含まれません。
    借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができない。2023.1-44-2
    借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2022.5-44-3
    普通借地権の存続期間満了前に、借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2021.9-43-2
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2018.1-44-2
    借地権者は、普通借地権について登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2017.5-44-3
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対し、建物を建築費で買い取るよう請求することができる。2017.5-44-4
    借地権者は、普通借地権について登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2016.1-43-2
    普通借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。2016.1-43-4
    普通借地権の設定契約において地代を減額しない旨の特約がある場合、借地権者はいかなる場合も借地権設定者に地代の減額を請求することはできない。2015.5-44-4
    普通借地権の存続期間が満了する場合で契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対して、借地権の目的である土地上の建物等を時価で買い取るべきことを請求することができる。2014.1-45-3
  3. 不適切。事業用定期借地権等の目的は、居住用を除く事業用建物の所有に限定されているため、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することはできません。
    事業用定期借地権等においては、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2021.9-43-4
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2020.9-44-3
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人の従業員向けの社宅の用に供する建物の所有を目的として設定することができない。2018.5-44-4
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。2015.10-43-4
    事業用定期借地権等は、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することができる。2015.9-43-2
    一般定期借地権は、専ら居住の用に供する建物の所有を目的とするもので、事業の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-1
    事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするもので、居住の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-3
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。2013.5-43-3
  4. [適切]。事業用定期借地権等の設定契約は公正証書でしなければなりません。公正証書に限定しているのは、事業用定期借地権等の設定目的である「専ら事業用の建物(居住用を除く)の所有」について、要件を満たしているかどうかを公証人に審査させることで法の実効力を確保するためです。
    一般定期借地権の設定契約において、存続期間は30年とすることができる。2023.9-44-3
    一般定期借地権の設定契約を公正証書等の書面(電磁的記録による場合を含む)で行う場合は、その存続期間を30年とすることができる。2023.1-44-3
    一般定期借地権において、もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。2021.9-43-3
    一般定期借地権において、もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。2020.1-43-3
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によって締結しなければならない。2018.5-44-3
    一般定期借地権においては、専ら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、その存続期間を10年以上30年未満として設定することができる。2018.1-44-3
    一般定期借地権の設定登記をした場合、存続期間などの登記事項は、登記記録の権利部乙区に記録される。2015.10-43-1
    一般定期借地権の設定登記をした場合、存続期間などの登記事項は、登記記録の権利部乙区に記録される。2015.1-43-2
    事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によって締結しなければならない。2015.1-43-3
    一般定期借地権は、設定登記をしなければその効力が生じない。2014.5-42-2
したがって適切な記述は[4]です。