不動産の取引(全95問中63問目)

No.63

借地借家法の建物の賃貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約、それ以外を普通借家契約という。
2016年9月試験 問44
  1. 普通借家契約では、賃貸人と賃借人の合意により、賃貸借期間を1年未満とした場合でも、賃貸借期間は1年とみなされる。
  2. 賃貸借期間の定めのない普通借家契約では、賃借人が解約の申入れをした場合、当該契約は解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。
  3. 定期借家契約では、賃借人に造作買取請求権を放棄させる旨の特約は無効となる。
  4. 定期借家契約では、床面積が200㎡未満である居住用建物の賃借人が、転勤によりその建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、賃借人は、当該契約の解約の申入れをすることができる。

正解 4

問題難易度
肢115.7%
肢215.7%
肢36.2%
肢462.4%

解説

  1. 不適切。普通借家契約の存続期間は、1年以上(上限なし)です。1年未満の存続期間の定めは無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。
    普通借家契約において、存続期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2024.5-44-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2023.9-45-1
    普通借家契約において、存続期間を3ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2023.1-45-1
    普通借家契約において存続期間を1年未満に定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2022.9-44-1
    普通借家契約において、存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2021.9-44-1
    普通借家契約において存続期間を6ヵ月と定めた場合、その存続期間は1年とみなされる。2021.1-44-1
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合、期間の定めのない建物の賃貸借とみなされる。2018.9-44-2
    普通借家契約において存続期間を10ヵ月と定めた場合であっても、その存続期間は1年とみなされる。2017.1-45-2
    定期借家契約では、1年未満の賃貸借期間を定めることができる。2014.5-43-4
    定期借家契約においては、建物賃貸借の期間を1年未満と定めた場合でも、期間の定めのない建物の賃貸借とみなされることはない。2013.9-44-4
    賃貸借期間を1年未満とする普通借家契約は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。2013.1-44-2
  2. 不適切。期間の定めがない借家契約では、貸主からの解約申入れには正当事由が必要で申入れから6か月で終了、借主からの解約申入れには正当事由が不要で申入れから3か月で終了という違いがあります。本肢は、借主側からの解約申入れなので申入れの日から3か月経過後に終了します。
    期間の定めのない普通借家契約において、建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをし、正当の事由があると認められる場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。2023.9-45-2
    期間の定めのない借家契約について賃借人が解約を申し入れた場合、当該契約は解約の申入れの日から6ヵ月経過後に終了する。2014.9-44-2
  3. 不適切。造作買取請求権は、建物の賃貸借において、賃貸人の承諾を得て取り付けた造作を、契約が終了したとき賃貸人に買い取るよう請求できる権利です。造作買取請求権は任意規定なので、普通借家契約・定期借家契約どちらでも特約で排除することが可能です。
    定期借家契約において、賃貸人の承諾を得て賃借人が設置した造作について、賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約をすることができる。2018.5-45-4
    定期借家契約では、賃借人に造作買取請求権を放棄させる旨の特約は有効となる。2018.1-45-3
    定期借家契約において、建物の賃貸人の承諾を得て賃借人が設置した造作について、賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約をすることができる。2016.5-44-3
  4. [適切]。床面積が200㎡未満である居住用建物を対象とした定期借家契約では、借主にやむを得ない事情(転勤、療養、親族の介護等)がある場合には、借主は特約が無くても中途解約ができます。
    定期借家契約では、床面積が200㎡未満である居住用建物の賃借人が、転勤によりその建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、賃借人は、当該契約の解約の申入れをすることができる。2018.1-45-4
したがって適切な記述は[4]です。