FP2級過去問題 2015年9月学科試験 問43(改題)

問43

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
  1. 普通借地権では、借地権者と借地権設定者との契約により、存続期間を70年と定めることができる。
  2. 事業用定期借地権等は、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することができる。
  3. 一般定期借地権において、契約の更新がないこととする旨の特約等は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。
  4. 借地権者は、借地権の登記または当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有することのいずれかがあれば、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。

正解 2

問題難易度
肢123.1%
肢256.7%
肢313.6%
肢46.6%

解説

  1. 適切。借地借家法では、普通借地権の存続期間を30年以上と定めています。上限はないので、当事者間の合意があれば70年とすることも可能です。
    普通借地権の存続期間は、借地権者と借地権設定者の合意により、30年より長い期間を定めることができる。2018.1-44-1
    普通借地権の設定当初の存続期間は、借地権者と借地権設定者との合意にかかわらず、30年を超えて定めることができない。2017.5-44-1
    普通借地権では、借地権者と借地権設定者との契約により、存続期間を20年と定めることができる。2015.5-44-1
    一般定期借地権では、存続期間中に借地人の建物が火災で滅失し、借地人が建物を再築したとしても、存続期間は延長されない。2015.1-43-1
    普通借地権の存続期間は、借地権者と借地権設定者との契約により、30年を超えて定めることができる。2014.1-45-1
  2. [不適切]。事業用定期借地権等の目的は、居住用を除く事業用建物の所有に限定されているため、賃貸マンションや社宅等の居住用建物の所有を目的として設定することはできません。
    事業用定期借地権等においては、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2021.9-43-4
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。2020.9-44-3
    事業用定期借地権等においては、一部を居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、その存続期間を10年以上30年未満として設定することができる。2019.5-44-3
    事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人の従業員向けの社宅の用に供する建物の所有を目的として設定することができない。2018.5-44-4
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。2015.10-43-4
    一般定期借地権は、専ら居住の用に供する建物の所有を目的とするもので、事業の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-1
    事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするもので、居住の用に供する建物の所有を目的として設定することはできない。2014.5-42-3
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権は、居住用と事業用のいずれの建物の所有を目的とする場合でも設定することができる。2013.5-43-3
  3. 適切。一般定期借地権を設定する特約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。「公正証書による等書面」というのは条文上の表現なのでわかりにくいですが、おすすめは公正証書ですけど書面であればOKという意味です。
    一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2023.9-44-4
    普通借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.9-43-1
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2021.1-43-3
    一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2020.1-43-4
    一般定期借地権においては、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、買取りの請求をしないこととする旨を定めることができるが、その特約は公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2018.1-44-4
    定期借家契約は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によって締結しなければならない。2015.1-44-3
    定期借家契約は、書面(電磁的記録による場合を含む)によらなくても成立する。2014.5-43-1
    存続期間を50年以上とする一般定期借地権において、契約の更新がない等の特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)で定めなければならない。2013.5-43-4
    定期借家契約を締結する場合は、公正証書その他の書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。2013.1-44-4
  4. 適切。借地権はそれ自体の登記が無くても、当該借地上に借地権者の名義で登記された建物を所有していれば、第三者への対抗要件を満たします。
    借地権者は、普通借地権について登記がされていない場合において、当該土地上に借地権者の名義で登記がされている建物が滅失したときは、滅失後3年以内にその旨を当該土地上の見やすい場所に掲示すれば、当該借地権を第三者に対抗することができる。2022.5-44-4
    借地権者は、借地権の登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2015.5-44-3
    借地権者は、借地権の登記がなくても、当該土地上に借地権者の名義で登記された建物を所有するときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。2014.1-45-4
したがって不適切な記述は[2]です。