FP2級過去問題 2019年1月学科試験 問16

問16

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。
  1. 給付金受取人が法人である医療保険の入院給付金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。
  2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。
  3. 死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額が資産に計上される。
  4. 死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険においては、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産に計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。

正解 2

問題難易度
肢117.8%
肢240.7%
肢320.8%
肢420.7%

解説

  1. 適切。受取人が法人である医療保険の入院給付金は、その全額を益金(雑収入)に算入します。個人が受け取る入院給付金は非課税ですが、法人税法では非課税ではありません。
    被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。2024.1-15-3
    被保険者が役員・従業員、給付金受取人が法人である医療保険で、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。2021.9-15-3
    給付金受取人である法人が受け取った医療保険の入院給付金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。2019.5-15-4
    給付金受取人である法人が受け取った医療保険の入院給付金・手術給付金は、全額を雑収入として経理処理する。2015.5-15-4
  2. [不適切]。法人契約の終身保険で、法人が受け取った解約返戻金は、それまでに資産計上していた保険料積立金との差額を雑損失または雑収入として仕訳します。「保険料積立金<解約返戻金」の場合は雑収入、「保険料積立金>解約返戻金」の場合は雑損失になります。
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を法人が解約して受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。2021.9-15-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入として益金の額に算入する。2021.5-14-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、資産に計上していた保険料積立金との差額を雑収入または雑損失として計上する。2019.5-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、資産に計上していた保険料積立金等との差額を雑収入または雑損失として計上する。2018.9-14-4
    死亡保険金受取人が子である終身保険の場合、父が受け取った解約返戻金は、所得税の課税対象となる。2015.9-14-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、全額を雑収入として経理処理する。2015.5-15-3
  3. 適切。法人契約の養老保険で、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人の場合には、支払保険料の全額を資産に計上します。
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2024.1-15-1
    被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2023.5-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2023.5-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.9-16-1
    被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.9-16-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.5-14-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2022.1-15-2
    被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.9-15-4
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.5-14-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.1-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2020.9-15-2
    被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額を資産に計上する。2018.9-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.5-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.1-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入に計上する。2017.9-15-2
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2017.5-16-1
    満期保険金受取人および死亡保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2017.1-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2015.10-15-1
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、全額を資産に計上する。2015.5-15-1
    被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全額を資産に計上する。2014.5-14-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全額を損金に算入する。2014.1-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、全額を資産に計上する。2014.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全期間を通じて、全額を資産に計上する。2013.9-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2013.1-14-4
  4. 適切。長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の支払保険料は、保険期間の前半6割の期間と後半4割の期間で経理処理が異なります。
    前半6割の期間
    支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、残り2分の1を定期保険料として損金算入する。
    例)長期平準定期保険として210万円を支払った。
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    後半4割の期間
    支払保険料全額と、前半6割で積み立てた資産(前払保険料)を均等に取り崩した額を損金算入する。
    例)長期平準定期保険として210万円を支払った。
    16_2.png./image-size:360×64
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日以前に契約したもの)では、保険期間のうち前半6割に相当する前払期間が経過するまでは支払保険料の2分の1相当額を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された額を期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。2018.9-14-1
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である逓増定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)では、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金に算入することができる。2017.5-16-4
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の6割相当期間経過後は、支払った保険料の全額を損金に算入するとともに、資産に計上していた前払保険料を期間の経過に応じて取り崩して損金に算入する。2015.5-15-2
    被保険者を特定の役員、保険金受取人を法人とする長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の6割相当期間経過後は、支払った保険料を損金に算入するとともに、資産計上していた前払い保険料を期間の経過に応じて取り崩して損金に算入する。2013.5-14-2
したがって不適切な記述は[2]です。