FP2級過去問題 2020年9月学科試験 問15

問15

法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険に係る保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも保険料は年払いで、いずれの保険契約も2022年4月に締結したものとする。
  1. 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
  2. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
  3. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間10年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
  4. 被保険者が役員、給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、損金の額に算入することができる。

正解 3

問題難易度
肢112.1%
肢216.1%
肢359.2%
肢412.6%

解説

  1. 適切。法人契約の養老保険は支払保険料の全額を資産計上するのが原則ですが、本肢のように①被保険者が役員・従業員全員、②死亡保険金受取人が被保険者の遺族、③満期保険金受取人が法人である、という3条件を満たす養老保険をハーフタックスプラン(福利厚生プラン)といい、この種類の養老保険の保険料は、2分の1を保険料積立金として資産に計上し、残りの2分の1の金額を福利厚生費として損金に算入します。
  2. 適切。保険金受取人が法人である終身保険は、いずれは保険金または解約返戻金を法人が受け取ることになり貯蓄性が高いため、支払保険料の全額を保険金積立金として資産計上します。
  3. [不適切]。法人契約の定期保険で保険期間が3年超のものは最高解約返戻率を基準に、資産計上割合が4割、6割、9割と変化します。
    本肢の定期保険の最高解約返戻率は80%であるため、上表3行目に従って前半4割の期間には支払保険料の6割(60%)を資産計上する経理処理を行います。記述は「40%」としているので誤りです。
  4. 適切。法人契約の医療保険で解約返戻金がないタイプの場合には、保険料の支払い期間や被保険者1人当たりの年間保険料の額に応じて、支払保険料の全額または一部を損金に算入することができます(2019年10月8日以降の契約)。
したがって不適切な記述は[3]です。