FP2級過去問題 2018年1月学科試験 問15

問15

契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険契約の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。
  1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、その全額を資産に計上する。
  2. 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族である定期保険(無配当保険)の保険料は、その全額を資産に計上する。
  3. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。
  4. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の前半6割相当期間においては、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができる。

正解 2

問題難易度
肢18.2%
肢271.1%
肢37.6%
肢413.1%

解説

法人契約の生命保険は、保険の種類と受取人によって支払保険料の経理処理(仕訳)が異なってきます。
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死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である場合には、原則として終身保険や養老保険などの貯蓄性があるものは資産計上、定期保険や医療保険など掛捨てで貯蓄性のないものは損金算入します。
  1. 適切。養老保険において、死亡保険金受取人および満期保険金受取人を法人にすると、法人が必ず保険金を受け取れるため、貯蓄性のある保険となります。この場合は支払保険料を「保険金積立金」として資産計上します。
  2. [不適切]。記述中の「資産に計上する」の部分が不適切です。
    定期保険(無配当保険)は、配当金がない掛捨て型の保険で貯蓄性がないので、支払った保険料はその全額を損金として処理します。
  3. 適切。保険期間の定めがなく保障が一生涯続く終身保険は、いずれは法人が保険金または解約返戻金を受け取れることになるので貯蓄性の高い保険です。よって、この場合は支払保険料全額を「保険金積立金」として資産計上します。
  4. 適切。長期平準定期保険は、定期保険の中でも、死亡時に支払われる保険金額が保険期間を通じて一定(平準)であり、その保険期間満了時における被保険者の年齢が70歳を超えるなどの幾つかの要件を満たす、極めて長期の保険期間を設定するものを指します(保険満了が99歳や100歳が一般的です)。(2019年7月7日までに契約した)長期平準定期保険は、保険期間の前半6割の期間は、支払保険料の2分の1相当額を資産に計上し、残りの2分の1相当額を損金に算入する経理処理を行います。後半4割の期間では支払保険料の全額を損金として処理します。
    法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
したがって不適切な記述は[2]です。