FP2級過去問題 2022年5月学科試験 問14

問14

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2021年10月に締結したものとする。
  1. 死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険(保険期間20年、年払保険料120万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
  2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
  3. 死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
  4. 給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。

正解 3

問題難易度
肢120.4%
肢218.4%
肢350.5%
肢410.7%

解説

  1. 適切。法人契約の定期保険で保険期間が3年以上のものは、最高解約返戻率を基準に資産計上割合と損金計上割合が変化します。最高解約返戻率が65%の場合、50%超70%以下の区分となり、保険期間の前半4割期間は支払保険料の40%を資産計上し、残り60%を損金に算入します。
  2. 適切。契約者および受取人が法人である場合、役員が死亡して死亡保険金を受け取るときでも、中途解約して解約返戻金をもらうときでも、どちらにしても法人が受け取ります。貯蓄性があるため、支払った保険料は全額を資産として計上します。
  3. [不適切]。養老保険のうち支払保険料の2分の1を損金に算入できるのは、①被保険者が役員・従業員全員、②死亡保険金受取人が被保険者の遺族、③満期保険金受取人が法人という3つの要件を満たすものに限られます。契約者および受取人が法人である場合、最終的には法人が受け取ることになりますから、貯蓄性がある保険として全額を資産として計上します。
  4. 適切。全期払いで解約返戻金のない定期保険や医療保険は、貯蓄性がありません。そのため、支払保険料の全額を損金に算入できます。
したがって不適切な記述は[3]です。